当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社レオパレス21が提供する30年一括借上げシステムです。
これまでアパート経営に関わる「一括借り上げ」や「家賃保証」の問題点は何度もご案内してきましたが、かいつまんで言えば「賃料を数十年保証してくれるものではない」ということですね。
確かに契約期間中の数十年借り上げてくれるのは間違いないものの、肝心の賃料については数年ごとであったり、あるいは経済状況が変われば変更になるわけで、もちろん変更=減額ですからほとんど全く意味がありません。
さらに悩ましいのはこうした賃料交渉において大家は弱い立場にあるということです。レオパレス社の話ではありませんが、報道によれば仮にこうした「一括借り上げ契約」を解除すると、入居者が全員退去させられるという話も聞きます。
一時的にせよ家賃収入がゼロになるわけで、これは大家にとってはかなり「怖い」仕打ちだと言えます。やはり世の中、ウマイ話はないということですね・・・。
つまり「家賃保証」と言っても
・金額がすぐに見直されてしまうので全然当てにならない。
・大家の立場は弱く、交渉権は全くない。
と言う根深い問題を抱えているわけですが、今般のレオパレス社の不良施工問題で新たなリスクが露見したと言えそうです。
ちなみに不良施工問題とは、レオパレス社が施工したアパートについて主に
・界壁施工不備
・天井部施工不備
が発覚し、「法令違反」の状態になっている問題ですね。2020年6月時点での改修状況はこのようになっています。
・不備棟数:13,615棟
・改修工事着手棟数:7,071棟
・改修工事完了棟数:1,008棟
まだ全体の1割も完了していないんですね・・・コロナ問題があったとは言え先は長いです。
この不良施工問題は2018年に発生したようですが、その後のレオパレス社の業績はこのようになっています。
・2018年3月期:148億円の黒字
・2019年3月期:−686億円の赤字
・2020年3月期:−802億円の赤字
強烈ですね・・・。ちなみに過去10年の業績を見てみると興味深いです。
リーマンショックの影響が冷めやらぬ2010年3月期、そして2011年3月期にもそれぞれ−790億円・−417億円の巨額赤字を計上しているのですね!
2010年3月期から2020年3月期までの純利益を合算するとトータルで「−1,703億円」もの赤字となります。施工不良問題は特殊なケースと言えるかもしれませんが、結果的には11年で1円の利益も生み出せなかったという点では会社として「存在価値がない」ということになりそうです。
会社は利益を生み出すためにあるわけですからね。
そのような莫大な赤字の結果、 2020年3月期の自己資本はわずか16億円まで減少し、今期=2021年3月期の計画が「−80億円の赤字」であることからついに債務超過になるということです。
つまり借金を返せなくなる、というわけです。
話が長くなりましたが、露見した新たなリスクとは
・大家が悪くなくても、会社が一人でつまづいて傾いていってしまうことが多い。
ということになります。
不動産業界は会社も顧客も銀行融資に依存するため、「不況に弱い」という点がありますが、加えて大金が動く業界だからかアグレッシブな人材が多く、定期的に法令違反を起こし、会社が消えていく印象があります。
一斉を風靡したTATERU社も今や風前の灯ですね。
もちろん会社が傾けば家賃保証は期待できません。
そんなわけでレオパレス社が教えてくれたことは「家賃保証は信じるな!」ということです。
どんな不動産投資もそうですが、アパート投資についても、「仮に家賃保証がなくても十分収益が挙げられるのか?」を考えないといけません。当たり前ですが・・・。
さらに言えば、よく指摘されているように今後、人口減少が続く日本では空家数も空家率も増加するのは自明です。そうした中で本当にアパート経営がうまく行くのか慎重な判断が必要なのは言うまでもありません。
繰り返しになりますが、世の中にウマイ話はないのです。
過去にレオパレス社を取り上げた記事はこちらになります。
>>>レオパレス21の30年一括借上げは魅力的?
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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