当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはエクシア合同会社ですね。同社についてはすでにこちらのコラムで取り上げていますので、「そもそもエクシアジャパンって何だっけ?」と思われた方は先にご覧ください。
>>>50代男性「エクシアジャパンは投資詐欺ですか?」
また、その後も何度か検証記事を書いておりますので、興味がある方はこちらのコラムもご覧ください。
>>>EXIA JAPANは詐欺業者、との投稿がありました
>>>46ヶ月連続プラスリターン!エクシア合同への投資は危険?
>>>エクシアはサイト閉鎖中!ステマサイトをチェックしてみる
>>>エクシアジャパンについて金融庁に調べてほしいこと
>>>エクシアジャパンはポンジスキームですか?
さてそのエクシア合同会社についてですが、先日読者の方から以下のような投稿をいただきました。
−−−
お世話になっております。エクシアから出金できないという口コミがありますので記事にしていただけないでしょうか。
https://twitter.com/allsunday0407/status/1277520483173322753
https://twitter.com/allsunday0407/status/1277777584671997952
金融庁に相談をして詐欺確定の回答をもらったという事も書き込まれています。
−−−
早速、ツイートを確認するとこのように書かれています。
・返還要請から2年半が経つけれどいまだに出金できない。
・金融庁、消費者センター、弁護士から詐欺確定をもらった。
という趣旨ですね。事実であれば事態が大きく動くことになりますが・・・果たしてどうなのでしょうか。
記者にはこれが事実なのかどうか判断する術はありませんが、個人的にはまだそうした「最終局面」にはなっていないのでは?という気がします。
というのも先日、ひっそり開示されていた2019年の決算書を見るとこのようになっているからです。
この中の社員資本の推移を見るとこのようになっています。
社員資本≒投資家の出資金額だとすると、2018年末から2019年末の1年間で、出資残高が約60億円も増えているということです。
実際には売上が別途24億円ありますので、そのかなりの部分が配当や社員の給料に消えた可能性がありますが、仮にそうだとしても少なくとも30億円を超える資金が残っていると考えられることから、資金の引き出しには十分耐えられる可能性が高いです。
ただしもちろん
・今、資金が引き出せるからと言って、エクシア社がポンジスキームではないとは言えない。
という点には注意が必要です。仮に同社が「ポンジスキーム=ネズミ講」として、今年=2020年に「投資家からの新規出資が全くない」と仮定すると
・2019年末時点の現預金:約60億円−約24億円=約36億円
・2020年に出金される金額:2019年末の出資金残高89億円の約4割=約36億円
ということで今年の年末にはピッタリ現預金がなくなり配当や返済が行き詰るということですね。もしそうなれば1円も返ってこないということです。
上記計算はあくまで仮定の話ですので、この計算が正しいと主張する気は全くありませんが、一般的にポンジスキームが破綻するプロセスをご理解いただければと思います。
新規入金で配当を賄っているとすると、新規入金が止まった時点で死ぬのがポンジスキーム=ネズミ講です。
逆に言えば新規入金が続く限りはポンジスキームは続くということです。 残念ながら必要な新規入金額は毎年どんどん増えていきますので永遠に続くということはあり得ませんが。
なお上記ツイートで紹介されているエクシア社の通知についてコメントするとすれば、このくだりは明らかにおかしいです。
−−−
返戻率は融資先グループ会社の運用実績から当社が当月において各社員に割当可能な金額の目安としてお示ししておりますが、評価額は、グループ会社の運用実績のみならず、その時々の為替相場等の事情も加味する等して総合的に決定する性質のものです。
そのため、評価額は、出資額や前月の評価額に単純に返戻率を乗じた金額と必ずしも一致するものではありませんのでご留意ください。あくまで、当
社が各社員に個別に通知した金額が正しい評価額になります。
−−−
評価額が「運用実績だけでなく、総合的に決定する性質のもの」とは一体どういう理屈でしょうか?(苦笑)
「総合的に」って一体何!!
評価額は単に投資資産を時価評価すればいいだけで、誰が計算しても同じになりますし、小学生でもできます。評価額ってそういうものですよね?単純に口座残高を時価で足し合わせれば簡単に計算できるはずです。
そしてもちろん返戻率も必ず1つの値になります。逆に評価額と計算が合わないようないい加減な返戻率を表示しているのであれば、明らかに法令違反となります。
合同会社は無法地帯なのかもしれませんが・・・。
ちなみに上記ツイート主のアカウントを拝見するとこのような情報が出てきます。
気分の悪いものを見てしまったな、というのが正直な感想です。信憑性は分かりませんが、投資家の大切な大切な資金が溶かされていないことを祈るばかりです・・・。
しかしそんなことより!!
記者は今回、今まで大きな勘違いをしていたかもしれないことに気が付きました。こちらのコラムでも指摘したように、同社弁護士によれば同社の売り上げはこういうことでした。
・売上高=FX運用益の約50%+エクシアジャパンの各種費用+法人税+日常経費+経営指導料
>>>エクシアジャパンについて金融庁に調べてほしいこと
記者はてっきり、「FX運用益の約50%」とは投資家の取り分であって、毎年(あるいは毎月)必ず運用収益は投資家に分配されているものと思っていました。
なので「社員資本≒投資家の出資金額」に対して売上高が明らかに少ないことをこれまで指摘してきました。
・2016年 : 出資金の平均残高3億81百万円 / 売上高82百万円 → 売上高の比率:21.5%
・2017年 : 出資金の平均残高8億4百万円 / 売上高1億76百万円 → 売上高の比率:21.9%
・2018年 : 出資金の平均残高19億16百万円 / 売上高4億54百万円 → 売上高の比率:23.7%
2016年のFXリターンは194.79%、2017年は87.73%、2018年は88.03%ということでしたから、売上≒投資家への配当とすると明らかに少ないわけです。
そこから「本当に配当は行われているのか」と疑問に思っていました。
しかし!
実際にこのエクシアに投資している人のブログを見ると「基本的には複利運用=配当はもらっていない」ということなんですね。配当を受け取るには別途、申請しないといけないようなのです。
とするとこの売上に計上されているのは「エクシア社の取り分+配当の受け取りを求めた顧客への支払い」だけが計上されている可能性があります。
だとすれば毎年、売上高が同社が喧伝するFX運用益よりはるかに少なく、かつ出資金に対する売上高の比率が20%程度で安定していることの説明がつきます。
では翻って今回発表された2019年の決算を見ると売上高の比率はこのようになっています。
・2019年 : 出資金の平均残高58億50百万円 / 売上高24億1百万円 → 売上高の比率:41.0%
今回、売上高が出資金に対して激増しているのですね!上記の通り「そのほとんどが顧客への配当金」と信じていた記者は「いよいよ真面目に配当し始めたのか」と思っていたわけですが、実際にはほとんど配当されていないのだとすると、実はこの激増分のほとんどがエクシア社の関係者=社長や社員、関係会社への支払いに溶けてしまった可能性があります。
問題はこの「販売費および一般管理費」の部分ですね。
23億円もの経費が立っているわけですが、その一部は投資家への配当だとしても、これまでの費用の推移からすれば明らかに多額であり、繰り返しになりますが、ここには社長や社員への給料、関係会社への支払いも入っているわけで、少なくとも同社弁護士が指摘するように「経営指導料」も加算されはじめたことを踏まえれば
・いよいよ同社が計画倒産も視野に入れ、投資家の資金を引き出し始めている
可能性も全くないわけではありません。
気になる投資家の方は、この「販売費および一般管理費」の開示を要求してみて下さい。そうすれば真実が明らかになってくると思います。
いずれにしても同社は「合同会社」ですが、これについては国民生活センターや東京都などが積極的に注意喚起を行っています。
>>>相談事例
>>>「合同会社への出資」って何?怪しげなもうけ話に注意!
上記国民生活センターの指摘通り
・合同会社の社員権の自己募集では、第二種金融商品取引業の登録の必要がなく、消費者保護ルールも十分ではない。
・会社法では合同会社への出資の払戻しには制限があるため、トラブルになった際、消費者にリスクが生じる。
ということですからね。
合同会社の社員権への出資は投資家を守ってくれる金融商品取引法の「対象外」なのです。
投資をご検討の方は国民生活センターと東京都の以下の言葉をしっかり噛みしめていただければと思います。
・実質的には集団投資スキーム持分の自己募集であるにも関わらず、合同会社の社員権の自己募集というかたちで規制を逃れようとする事業者には注意が必要である。
・「合同会社」の仕組みを悪用する事業者がいるので注意しましょう。
そうしたわけで、仮にこの「エクシアジャパン」に投資するとしても、同社がきちんと許認可や登録、届け出を行った上で、しっかり金融当局のチェックを受けてからでもいいのではないでしょうか。急いで投資する必要など全くありません。
なお、同社は第二種金融商品取引業の登録を済ませているエクシア・アセット・マネジメント株式会社を買収していますが、これは同社の信用力に全く関係ありません。というのもこの登録はあくまで「投資助言・代理業」であって、同社の運用とは無関係だからです。
今回の記事も金融庁に通報することにしておきます。金融庁の方にはぜひ早く動いてほしいものですね。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |