当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは利回り7%という高利回りを喧伝する、SAMURAI証券のクラウドファンディングである「SAMURAI FUND」の「サマーキャンペーンファンド1号」です。
ちなみにSAMURAI証券についてはこれまで以下の通り取り上げてきました。
>>>利回り5.5%!SAMURAI証券はやっぱり大赤字
またSAMURAI証券の前身はAIP証券で、同社については以下の通り取り上げてきました。
>>>必見!クラウドファンディング「スマートエクイティ」は大赤字
>>>スマートエクイティ 酵素サプリボンド6%は魅力的?
>>>スマートエクイティ スリランカ預金ファンド5%は魅力的?
では早速「サマーキャンペーンファンド1号」の商品内容を抜粋するとこうなります。
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本匿名組合は、営業者であるSAMURAI ASSET FINANCE株式会社(以下、「営業者」)が実施する、リバイバルキャピタル株式会社(以下、「リバイバルキャピタル」)への貸付事業から生ずる収益を出資者に分配するものです。
本匿名組合では営業者が、リバイバルキャピタルに対して5億20万円の貸付(以下、「本件貸付」)を行います。
リバイバルキャピタルに対する融資金として5億20万円を募集いたします。
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これだとよく分かりませんので、関係図を引用するとこうなります。
SAMURAI証券が集めたお金はSAMURAI ASSET FINANCEに渡り、本件ではその資金がリバイバルキャピタル社に渡る。そしてその貸出を日本保証が保証するというスキーム図ですね。
つまりは関係者が4社あることが分かります。
貸出先が明記されているのは良いことですが、ただ問題は金融会社であるリバイバルキャピタルのその先の融資先が分からないという点ですね。これでは単なる迂回融資です。
集められた資金が最終的にどこの誰に渡るのか分からなければこの案件の本当のリスクは分かりません。リスクが分からない以上、7%という利回りが適性かどうかも分かりませんので、「投資してはいけない」という結論でいいかと思います。
ただそれでは話が終わってしまいますのでもう少し詳しく見ていきたいと思います。
まず貸付先であるリバイバルキャピタル社ですが、SAMURAI FUNDのサイトによれば「リバイバルキャピタルは新設法人のため、2020年2月現在純資産(総資産)以外の数値はございません。」と案内されています。
しかしネットで検索してみると同社の2020年1月決算の数字が発表されています。
利益は約−117万円の赤字だということですね。新設企業が赤字なのはやむを得ないとしても問題はこの決算が2020年5月20日に発表されているにも関わらず、販売者であるSAMURAI証券は2020年8月の募集時点で一切スルーしているということです。
故意であれば金融商品取引法に抵触するものだと思いますし、故意でなければ貸出先の管理が全く出来ていないということですね。
そもそも何の実績もない会社にいきなり5億円も貸し付けるのか、という話ですが・・・。
ちなみにこのリバイバルキャピタル社と同じ社長(飯村剛)・同じ住所で以下2つの会社が確認できました。
・株式会社バッカーズ
・株式会社バニラ
まずバッカーズ社の方は2018年5月25日に無くなっています。
次にバニラ社は2018年1月決算にて多額の利益を出した後で債務超過に転落しています。
何があったのかは分かりませんが、「コツコツ真面目な経営を続ける会社」ではないのは間違いなさそうですね。
こうした経歴を見る限り、やはり5億円もの資金を貸し付ける先として適正なのかどうかはかなり微妙です・・・。
そうは言いつつ仮にこのリバイバルキャピタル社が倒産したとしても「日本保証が保証してくれるから安心」という考え方もあるかもしれません。というわけで日本保証の財務状況をチェックしてみるとこのように掲載されています。
2019年3月期決算では約33億円もの利益を挙げており、「やっぱり安心」と思われるかもしれません。
しかしこの日本保証社はJトラスト株式会社の100%子会社であり、そのJトラスト社の2020年6月期の連結決算はこのようになっています。
つまりこの日本保証社も含めたグループ全体では−1億46百万円の赤字だということですね!グループ各社が破綻するようなことになれば当然、同社の経営も困難になると予想されることからその保証能力は全く当てにならないということです。
では最後にこの「SAMURAI証券株式会社」及び「SAMURAI ASSET FINANCE株式会社」を擁するSAMURAI&J PARTNERS社の業績はと言うとこうなっています。
こちらも2020年6月期決算で−2億7百万円の赤字ということですね・・・つまり右を向いても左を向いても関係者は全員赤字だということです・・・ひどいものです。
そうしたわけで上記の通り、最終的な貸出先が分からずリスクが全く不透明であることに加え、貸出先であるリバイバルキャピタル社も、保証人である日本保証社の連結決算も、募集者であるSAMURAI証券の連結決算も、営業者であるSAMURAI ASSET FINANCE社の連結決算も、全て赤字であることを踏まえれば、やはりこのファンドには「投資してはいけない」ということでいいかと思います。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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