当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは「わかちあいファンド」と言う、何とも怪しげな名前の商品です。怪しい商品ほど甘い名前が付けられますからね。
それはともかくその中身を見てみると、まず運営会社は「株式会社日本プロパティシステムズ」とのことです。いかにも大企業然とした社名ではありますが、従業員は14名です。残念ながら中小零細企業ということですね。
それが悪いわけではありませんが、虎の子の資金を預ける先としては不安が残ります。
加えて財務内容も一切開示されていません。当然、この会社が倒産すれば投資資金の回収はかなり困難となりますので、「投資してはいけない」ということでいいかと思います。
そんなわけで既に結論が出た感がありますが、それだと話が終わってしまいますので現在募集中のファンドである「わかちあい銀閣寺道」について見ていきたいと思います。物件の概要はこうですね。
まずこの物件の評価が1億8,000万円で適性かどうかという点ですが、土地の値段を計算してみると「京都市左京区浄土寺」の地価は26万円〜29万円のようなので間を取って28万円とすると
・28万円×152.76平方メートル=4,277万円
となります。 ということは建物が
・1億8,000万円−4,277万円=1億3,723万円
と言う計算ですが・・・築35年という年数を考えるとさすがに高い気がしますね。鉄筋コンクリート造りのビルの建設費用は約119万円だそうです。延床が373.7平方メートルですから新築の建設費用は
・119万円×373.7平方メートル=1億3,476万円
ということでほぼほぼ新築の建物と変わらないことになってしまいます。
仮に築50年で取り壊すとすれば、すでに35年分の価値が失われているわけで、現状の価値は
・1億3,476万円×15年/50年=4,043万円
でもおかしくないということです。土地代を合わせると
・4,043万円+土地代4,277万円→8,320万円
一方で年間909万円の賃料があるとのことですが、この物件の部屋が概ね5万円程度で募集されており、1階のテナントの賃料が20万円くらいだとすると、
・12戸×5万円+1戸×20万円=80万円×12ヶ月→960万円
となり、こちらは空室率などは考慮されていないにせよ、それなりに妥当な線だと言えそうです。
あとはこの築35年の物件の利回りがいくらくらいが妥当かと言うことですが、京都で似たような物件の投資利回りを調べてみると
・6%〜9%
となっており、間を取って7.5%だとすると、
・909万円÷7.5%=1億2,120万円
となります。
要するにこの物件の価値は高くても「1億2,000万円程度」の可能性があり、それを優先出資枠=1億7,500万円で投資家に売却するというのは・・・詐欺とは言わないまでも、適正な取引とは言えなさそうです。
そもそも本当にこの物件の価格が1億8,000万円だとすると、想定賃料909万円から逆算すれば利回りは5%となり、4.1%も分配すれば会社にほとんど利益が残らないことになります。
ボランティアではない上に上記の通り社員が14名いるとすればその人件費はどう安く見積もっても4,000万円はかかるはずで、経営を維持するのは不可能です。
であればどこかに儲けが出るカラクリがあるはずで、それが良く分からない場合は「投資してはいけない」ということでいいかと思います。
いずれにしても最初にご案内したように、まずはこの会社の経営状況を見てからですね。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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