2020年も年末ですね。2020年は歴史に残る激動の1年でしたが、2021年はどうなるでしょうか。
というわけで恒例の「来年の定期預金金利見通し」についてご案内したいと思います。来年=2021年に定期預金の金利は上昇するのでしょうか?それとも下落するのでしょうか?
その具体的な予測に入る前にこれまでの市場金利の動向を振り返ってみたいと思います。まず上記1年もの・5年もの市場金利の推移をチェックすると、2016年初頭に急落し、2016年7月にボトムをつけた後で上昇に転じた一方、2017年以降は上がりもせず、下がりもせず、安定していたことが分かります。
一方で2019年からは大きく下がった後で上昇するなど不安定な動きとなりましたが、しかしそれでも全体的に見れば低金利が維持されているのは間違いありません。
最も代表的な金利指標である長期金利=10年国債金利の動きをチェックしてもやはり同じです。
ではなぜこのように金利が低水準を維持しているかと言えば、日銀が新たな金融緩和の枠組みであるイールドカーブコントロールによって金利の「上限」を設定していることですね。
現状のイールドカーブコントロールにおける長期金利の変動幅は「−0.2%〜+0.2%」となっていますが、このイールドカーブコントロールが続いている限り、市場金利全体も、定期預金金利も「低いまま」ということですね。
となると気になるのが、「イールドカーブコントロールがいつ解除されるのか」という点ですが、その答えは「インフレ率が2%を安定的に超えた時」ですね。日銀は「2%のインフレ目標」を達成するために異次元緩和を行ってきたのですから当然です。
ではこれまでのインフレ率の推移をチェックしてみるとこうなっています。
消費税増税の影響で一時的に2%を上回ることはあっても、全体的には0%近辺をウロウロしてきたことが分かります。足元ではコロナ禍の影響もあってついにマイナス=デフレに逆戻りですしね。
つまり、まだまだ目標達成には遠く、イールドカーブコントロールが解除されるのもまだまだ先であるということですね・・・。
とすると基本的には2021年の金利環境は2020年と変わらないということですから、「長期金利も市場金利全体も定期預金金利も低いまま」と予測することができます。
ただ一方で2020年が激動の1年となった原因であるコロナ禍も、2021年にはワクチンの普及により収束していくことが期待されます。新たな治療薬も出てくるかもしれませんしね。
これによって世界経済が回復し、株価が上昇するのであれば、金利は上昇しやすくなります。実際、株価はかなり上昇しています。
さらにいつもご案内しているように日銀の本音は「金利正常化=金利引き上げ」かと思います。
長引く低金利によって金融機関の業績は悪化しており、「本業では赤字」とされる銀行が増えてきました。こうした異次元緩和の「副作用」を日銀も無視できなくなっており、多少なりとも金利を引き上げておきたい、ということですね。
実際、日銀が2018年7月に長期金利の変動幅を従来の「−0.1%〜+0.1%」から「−0.2%〜+0.2%」に引き上げたのも、本音としては「金利を少し引き上げておきたい」ということだったのだと思います。
その後の株価下落で残念ながら長期金利はマイナス水準まで下がったわけですが。
コロナ禍の影響が色濃く残る2021年に金利引き上げに動くのは時期尚早だとしても、2022年や2023年には多少なりとも金利を引き上げてほしいものですね。期待だけはしておきたいと思います・・・。
そうしたわけで2021年の定期預金金利の予測は引き続き「長期金利も市場金利全体も定期預金金利も低いまま」
ですが、ただ2020年を振り返ってみれば、そうした中でも「いつも高金利」な銀行が増えてきた感があります。
こうした流れがどんどん広がっていくことを願っています。
参考になさってください。
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