当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはファンズ株式会社が提供するソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)である「FUNDS」ですね。読者の方から以下のようなメールをいただきました。
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こんにちわ。いつも楽しく詐欺案件の記事を読ませてもらってます。
さて、貸付投資のFunds、という商品は信用できますか?怪しいですか?1円から投資できて、利回りは1.5〜6%だそうです。弁護士とかそろえていて、出資企業も一流どころを並べていますが、顧客のお金は分別管理されているのかなあ?
ホームページは立派です。ご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。
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信用できるのでしょうか?それとも怪しいのでしょうか?ということで早速、提供しているファンドを見てみると、最新の募集案件は以下のようになっています。
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・案件名:ウェルス・ラグジュアリー・ホテル・ファンド#1
・投資先:ウェルス・マネジメント株式会社
・投資受付金額:200,000,000円
・予定利回り:2.30%
・運用期間:約11ヶ月
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利回りは2.3%ということで他のソーシャルレンディングと比較すればかなり低いですが、他方で、投資先からすれば許容できるギリギリの金利水準という気もするので、却って経済合理性というか信頼感を感じないではありません。
資金使途としては
・ホテル開業、運営の事業資金に利用します
とのことでこのご時世を考えればリスク感はたっぷりですが、投資先のウェルス・マネジメント株式会社は上場企業ですのでその決算書を確認するとこのようになっています。
今期の第3四半期決算=2020年4月〜12月の決算は売上が3分の1となり、赤字額が−6億円となっています・・・赤字企業に投資するリスクを取る必要がありますか?ないですよね。
しかもファンド募集ページからは決算が好調だった2020年3月期のものにリンクを張っていることにも悪意を感じます。
FUNDS、一瞬いいかと思ったのですが全然ダメですね。投資家のことを何も考えていません。
ちなみにこのウェルス・マネジメント社の株価を見るとこのようになっています。
ちょうど「半値戻し」という状況ですね。11ヶ月の同社のリスクが取れるのであれば株に投資する方が面白いかもしれません。
なおその数字が良かった2020年3月期の決算書から、同社の借入の明細をチェックするとこうなっています。
例えば長期借入金の平均金利は2.77%となっていて、このFUNDSの資金もロールオーバーを通じて実質的に長期借入金に近いものとなるのであれば、さきほど信頼感が持てると書いた今回の2.3%の利回りも本当はもうちょっと高くないといけないのかもしれませんね。
そんなわけで記者はこちらのファンドにはネガティブな気持ちが強まってきましたが、こうしたソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)にあたってもう1つ考えないといけないのは、運営会社であるFUNDS社そのもののリスクです。
もし仮にFUNDS社が倒産でもしようものなら債権回収はかなり困難になりますからね。というわけでFUNDS社の財務内容をチェックしてみると、資本金以外何も分かりません。
そもそもいろんなベンチャーキャピタルが出資している時点で赤字=体力はないということなのでしょうね。
加えて実際に投資家の資金の受け皿となるファンズ・レンディング社もまだ損益などは発表されていません。
つまり投資家は
・ウェルス・マネジメント社
・ファンズ社
・ファンズレンディング社
の3社の不透明なリスクを取らないとならず、その対価が2.3%の利回りというのも適切なのかどうか判断できません。
というわけで記者は投資しません。みなさんも慎重にご判断ください。
ちなみに不動産に投資してみたいということであれば、REITの方がはるかに透明性が高くてお勧めです。
5%を超えるものもありますし、分散して投資しても3.7%の利回りです。
そしてソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)と違って換金したい時にいつでも換金できる流動性も魅力の1つです。
REITは値動きがあるために値下がりした場合に損失が可視化されてしまうデメリットはありますが、しかしソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)も可視化されないだけで、何かあった場合に最終的に投資家に転嫁されるという意味では同じです。
かく言う記者もREITには投資しております・・・参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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