当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはTECRA株式会社が提供するTECROWD=テクラウドですね。検索画面では以下のような広告が表示されていました。
正直言って記者も「新興国不動産投資」には大変興味がありまして、良い内容なら「検討しなくもない」というスタンスだったわけですが・・・しかしまだ3月26日現在で1号案件しか販売されていないにも関わらず「即完続き」の表記は明らかに間違いと言うか有利誤認を引き起こす表現で、マトモな会社なら完全にNGな広告ですね。
「単なる書き間違いでは?」という心優しいフォローがあるかもしれませんが、こうした広告が世に出ている時点で、同社には
・マトモな広告審査手続きがない
という事であり、もっと言えば
・マトモなコンプライアンス=法令遵守体制が出来上がっていない
という事です。 この時点で記者がこの会社に投資することはありません。
ただまぁそれだと話が終わってしまいますので、もう少し細かくその内容を見てみます。案件の中身はこういうことですね。
−−−
・物件名称:Hoimor office
・国:モンゴル / ウランバートル
・構造・規模:鉄筋コンクリート造地上18階建 / 126戸
・竣工年月:2017年11月竣工済
・投資対象:合計15区画(31.25u〜94.05u)
・運用期間:2021年5月1日〜2023年4月30日
・出資総額:32,000,000 円
・賃料収入(15区画合算):一括借り上げ賃料2,489,928円
・募集想定利回り:8.0%
−−−
利回りは8.0%ということでかなり高利回りです。
またその賃料収入については
・インベスコアNBFI(モンゴル証券市場上場 コードINV)のグループ企業である『Invescore
Property LLC.』(以降:IP社)が一括借上およびに集金代行を行っているため、確実性が期待できる。
とのことでリスクは低そうです・・・が。
逆にそうなってくると、なぜインベスコア社が物件価格に比して8%超の賃料を払うのか、そしてテクラ社が自分で資金調達せずにわざわざ個人投資家の資金を集めようとするのか、その理由が全く見えてきません。
一番分かりやすいのは
・インベスコア社は自己資金も借入をする信用力もなく、高い賃料を払わざるを得ない。
・テクラ社は自己資金も借入をする信用力もなく、自分たちで物件を購入することができない。
と言った理由ですが、いずれにしても「なぜ8%もの法外なリターンが得られるのか?」「8%に見合ったリスクはどこにあるのか?」が分からない以上、投資してはいけないですね。
もちろん「リスクがない」「ローリスクハイリターンである」なんてことはあり得ません。必ずどこかにリスクがあるはずです。
ちなみにこの「Hoimor office」についてはインベスコア社が販売もしており、インベスコア社のHPを見てみると以下のような値段となっています。
全126戸の値段は2018年3月の時点で450万円〜1,800万円ということです。最も安い部屋でも450万円ということですね。
そして今回の第一号ファンドは全部で15区画ということでした。とすると3年間の価格変動を考慮しなければ最低でも450万円×15戸=6,750万円するはずですし、94.05uの部屋も含まれていることを考えればこの15戸の値段はもっと高いはずです。
それなのになぜ出資総額が3,200万円で済むのでしょうか?テクラウドのページでは物件価格は3,109万円となっています。
よく分からないですねぇ。いずれにしてもリスクが見えてこない以上、手を出してはいけないです。
見えてこないという点では一括借り上げを行う「Invescore Property
LLC. 」社の経営状態もよく分かりませんし、そもそもこのテクラウドを提供しているテクラ社の経営状態も開示されていません。
そうした点を考慮すればやはり、このTECROWD=テクラウドには投資してはいけない、ということで良さそうです。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |