当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは利回り4%を喧伝する、SAMURAI証券のクラウドファンディングである「SAMURAI FUND」の「新宿区収益不動産担保付きファンド」です。
ちなみにSAMURAI証券についてはこれまで以下の通り取り上げてきました。
>>>利回り7%!SAMURAI FUNDは魅力的?
>>>利回り5.5%!SAMURAI証券はやっぱり大赤字
またSAMURAI証券の前身はAIP証券で、同社については以下の通り取り上げてきました。
>>>必見!クラウドファンディング「スマートエクイティ」は大赤字
>>>スマートエクイティ 酵素サプリボンド6%は魅力的?
>>>スマートエクイティ スリランカ預金ファンド5%は魅力的?
では早速「新宿区収益不動産担保付きファンド」の商品内容を抜粋するとこうなります。
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「不動産事業を主に行う不動産事業者」向けの貸付事業で運用するファンドです。東京都新宿区戸山に所在する1棟アパート(本物件)を担保とし、営業者より融資を行います。
本物件を所有する株式会社グローベルスは、マンション事業・戸建事業・商業施設建築事業・ソリューション事業を展開する不動産会社です。
同社は、不動産特定共同事業法に沿ったクラウドファンディング事業を2020年10月より行っております。
本件では、クラウドファンディング事業の普及を目的に、保有する不動産を担保(第一順位)として4920万円の貸付を行います。
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営業者であるSUMURAI ASSET FINANCE社が資金を集めて、「大家.com」というクラウドファンディングを提供しているグローベルス社に融資するという何だかよく分からない構造です。
別にSAMURAI社に頼まなくてもグローベルス社自身が資金集めをすればいいと思うのですが、2020年10月に事業を開始したばかりでまだそこまでの資金調達力がないということなんですかね。
というわけでこの案件には関係者が4社あることが分かります。
・SUMURAI ASSET FINANCE社 → 親会社/Nexus Bank社
・グローベルス社 → 親会社/プロスペクト社
それぞれの会社の経営状態を見ていきましょう。まずはSUMURAI ASSET FINANCE社。
赤字だということです。運用会社が赤字というのは笑えませんね・・・。
次にSUMURAI ASSET FINANCE社の親会社であるNexus Bank社。
こちらも連結決算は赤字です。
次にグローベルス社。
こちらはようやく黒字ですね!
最後のそのグローベルス社の親会社であるプロスペクト社の連結決算。
死ぬほど赤字です・・・というか会社存亡の危機ですね。これは連結決算ですから、グローベルス社も残念ながら今のところ信用力は「ほぼない」と考えてよいと思います。
つまりは関係者がみんな赤字なわけで、そうした案件に投資するのはかなりのハイリスクです。しかもリターンに直接影響するリスクではありませんので、「ハイリスクローリターン」と言ってよいかもしれません。
「ローリスクハイリターン」はあり得ませんが、「ハイリスクローリターン」や「ハイリスクノーリターン」はあり得ます。
と言うかmaneo社やSBIソーシャルレンディング社が実質的に破綻したように、もはや
・ソーシャルレンディング自体が存続し得ないビジネスモデルだった=虚構だった
と言えそうです。十分ご注意ください。
最後に案件の中身ですがポイントとしては
・4,920万円の貸し付けに対して、担保評価5,550万円は十分か
という点です。で、担保詳細をクリックするとこうなります。
「詳細」なはずですが、担保について具体的な説明は一切ありません。これでは担保物件が本当に5,550万円の価値があるのか全く分かりません。
また「価格調査の基本的事項および手順が不動産鑑定評価基準に則っていない」とぶっちゃけてしまっているのもどうかと思いますね・・・ちゃんと鑑定評価しろよ。
そうしたわけで関係者全員が会社存亡の危機にあり、担保も全然信用できないという点を踏まえれば「投資してはいけない」という結論で良いかと思います。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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