当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社UKコーポレーションが提供するトランクルーム投資ですね。読者の方から以下のようなメールをいただきました。
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UKコーポレーションという会社が運用している、スペラボというトランクルーム投資について教えてください。
都心のビルを借りてトランクルームを運営し、満室になれば年利20%も狙えるとの事なのですが怪しくはないでしょうか。
最近ユアスペースという会社がトランクルーム投資詐欺をしたという事がニュースでやっていましたが、全く別物でしょうか。よろしくお願いします。
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確かにホームページを見ると「20%前後」という数字が謳われており、もし実現できればかなりの高利回りですが、実際のところはどうなのでしょうか?運用実績を見てみるとこのように表示されています。
「浅草東駒形店」の売上が32万7,000円で、経費が6万8,000円であることから、月次の利益は25万9,000円であることが分かりますが、投資家全体の投資金額がいくらなのか分からないので肝心の利回りは全く分かりません。
ただ恐らく稼働率100%=利回り20%なのでしょうから、トランクルームの経費がほぼほぼ固定費だとすると、
・稼働率が80%を超えないと投資家は利益が出ない
という可能性は高そうです。もしそうだとすれば「浅草東駒形店」の稼働率83%というのは投資家にとってギリギリプラス、ということなのでしょうね。
そして「江東住吉店」に至っては開業2ヶ月目の数字とは言え稼働率が25%なので投資家にとって大赤字なのは間違いなさそうです。
実際、このスペラボに投資している方のブログを見ると2020年11月の時点で以下のように報告されています。
やはり稼働率が低い間は赤字であるということです・・・。
ではこのスペラボのトランクルームで稼働率が80%を超えていそうな物件はどれくらいあるのでしょうか?ホームページでチェックすると・・・ほとんど全くありません。
開業タイミングが古そうな「中野幡谷店」はこんな感じ。
同じく開業タイミングが古そうな「中野1丁目店」はこんな感じ。
同じタイプの部屋が何部屋もあるので「申し込める=全空室」ではないにしても稼働率は「行って3〜4割」という感じでしょうか。
他のトランクルームをチェックしてもどこも似たり寄ったりの状況ですので現時点では「黒字かもしれない」のは「浅草東駒形店のみ」と推測されます。
実際、他に稼働のよい物件があればそっちをホームページで宣伝するでしょうしね。
その点ではこの文言は嘘ではないにせよ「誇大広告」と言えそうです。
上記、スペラボに投資されている方のブログを見ると稼働率はこのように報告されています。
開業タイミングからすると恐らく上記中野の2店舗のどちらかではないかと思いますが、徐々に増えてきてはいるもののまだ低稼働であることが分かります。
その点では投資の是非については、同社のトランクルームの稼働率が安定的に80%を超えてくるのか見極めてからにすべきですね。焦って投資する必要など何もありません。
ホームページにはこういう仕組みも書かれており、言い換えれば2年目以降は経費率が大きく上がるわけで、その影響も見極める必要がありますね。
しかし「賃料がかかっていないのに赤字」って一体どういうことなのでしょうか・・・。
加えてこうした投資に関して共通に言えることですが、「投資会社の財務内容が分からない」というのがあります。
もし仮に大赤字であれば、稼働率が高まる前に会社が存続できなくなってしまいますし、逆に黒字であれば、投資家をダシにして自分たちは甘い汁を吸うビジネスモデルが浮き彫りになります。
またトランクルームの稼働率はホームページを見れば大体分かりますので嘘をつくことはないと思いますが、財務内容を開示していなければ、その経費率や実際の採算はいくらでも操作できます。
本当は赤字なのに見た目黒字にしておいて投資家からの資金で自転車操業を回す「ポンジスキーム」も可能だということです。
その点では投資にあたっては前述の「同社のトランクルームの稼働率が安定的に80%を超えてくるのか見極めてから」ということに加えて、「同社が財務内容を開示してから」ということですね。
世の中に「旨い話」はありませんからね・・・慎重にご判断ください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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