当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは「テキシアジャパンホールディングス」、そして「ワールドフレンドシップコイン」です。
テキシアジャパンについてご存知ない方に概要をお伝えしておきますと確か2019年に発覚したと思いますが、巨額詐欺事件であり、ネットから引用するとこういう内容でした。
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テキシア詐欺事件は、全国の被害者13,000人、被害総額460億円という大規模な投資詐欺事件である。
「毎月3%以上の高配当」「元本保証」という誇大広告で勧誘を行い、契約書ではなく金銭貸借の形をとり、組織としてはピラミッド構造の会員システム、つまりネズミ講システムという昔ながらの組織だった。
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「毎月3%以上」「元本保証」と言われればどう考えても詐欺確定と言えますが、世の中には騙されてしまう人がいるもので、13,000人の被害者が出たということですね。
あくまで個人的な感覚ですが、どうやっても騙されてしまう人が1万人くらいいるような気がします。犯罪グループがそこにリーチできれば何年も存続できるし、逆にリーチできなければ数ヶ月で飛ぶということではないでしょうか。
そしてこのテキシア社は不運にもリーチできてしまったということですね。
13,000人から460億円ですから1人350万円。まぁそんなものなのでしょうね。とは言え中には数千万円単位で出資した人もいるでしょうから地獄です。テキシアに残っていたお金は1,600万円ということですが、多少なりとも回収できたのでしょうか?気になるところです。
さてそんなテキシア事件ですが、第2幕がありました。先日の報道を引用するとこういうことです。
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交換業者として国に登録せず「ワールドフレンドシップコイン」(WFC)と呼ばれる暗号資産(仮想通貨)を販売したとして、警視庁組織犯罪対策4課は8日、取引を担っていた運営会社代表、紙屋道雄容疑者(71)ら7人を資金決済法違反容疑で逮捕した。紙屋容疑者は「営業が勝手に販売した」と否認している。
同課によると、運営会社は18年8月ごろ、投資コンサルティング会社「テキシアジャパンホールディングス」を巡る出資金詐欺事件の被害「救済」名目でWFCを発行。価値について、海外でのダイヤモンド採掘事業に基づくと主張し、電話などで営業していた。19年8月ごろまで個人向けに1WFC当たり平均約2千円で計数億円分を販売したとみられる。
だが同課が購入者に事情聴取したところ、多くの人が換金できないと説明。運営会社は別の仮想通貨「ワールドフレンドシップキャッシュ」(WFCA)に切り替えるよう購入者に促し、一部が応じたものの、この仮想通貨も換金できない状態とみられる。同課は今年1月に関係先を家宅捜索。運営の実態を調べる。
テキシアを巡っては、元会長らが主導して高額配当をうたい、全国の1万人以上から約450億円を集めたとされる。元会長は詐欺罪などに問われ、懲役8年の実刑判決が確定している。
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「被害救済」名目でテキシア被害者に対して、別の仮想通貨詐欺で騙そうとしたということですね!「損失を認めたくない」「騙されたと思いたくない」「何とかお金を取り戻したい」という被害者の心のスキを突いた、巧妙かつ極めて悪質な犯罪だと言えます。
その仮想通貨であるワールドフレンドシップコインはどんな中身かと言うと、残存するサイトから引用するとこういうことのようです。
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・西アフリカのシエラレオネなどの紛争地域のダイヤモンドをブロックチェーン技術により原石発掘、研磨、商品化までを記録化し保証する事により、ダイヤモンドの新たな市場価値を創造して、WIN-WINの関係により経済発展と平和を生み出す。
・シエラレオネ産のダイヤモンドは世界でも最高峰のクオリティと言われています。また、世界で一番大きなダイヤモンド原石(THE STAR
OF SIERRA LEONE DIAMOND/968.9カラット)が発掘されるなど、産出量も豊富なのが特徴です。
・WFCでは、シエラレオネを初めとする名産地のダイヤモンドを扱う予定です。
・CONCEPT
ERC721規格のEOSに基づいたトークンを発行
ダイヤモンドの原石の採掘、研磨、小売までブロックチェーン上でトラッキングし、ヴァージンダイヤモンドを保証
GIA(米国宝石学会)鑑定書もブロックチェーン上で管理
・BENEFIT
信頼できる、検証可能なサプライチェーン
研磨前のダイヤモンド原石の購入が可能
ダイヤモンドの所有権の分割購入が可能
実際にダイヤモンドの納品を受ける場合もあります
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よくもまぁこんな手の込んだウソを考えつけるものですね!その才能があれば犯罪に手を染めなくてもそれなりに成功しそうなものですが、もちろん結果的には全てでっち上げで、被害者は換金できないワールドフレンドシップコインを買わされたのみです。
別の報道ではこんな事例もあるようです。
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テキシア社に200万円を出資していた中国地方の60代男性は2018年ごろに紙屋被告らの勧めで、WFCの暗号資産に切り替えた。その後、紙屋被告が会長を務める別の会社が運営するコインに置き換えられ、現在は利息扱いとして贈呈されたコインも含めて2万枚以上を保有している。
この会社サイトでは今、後継コイン1枚が20万円前後の価値があると表示される。「定期預金」扱い以外の約2200枚だけで約4億円になるはずだが、現金化はできないままだ。
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画面上とは言え4億円・・・信じたくなる気持ちも分かります。
では実際にどれくらいの被害が出ているかと言うとこのようです。
約8億7,000万円ということで決して少ない金額ではありませんが、ただテキシアの被害額に比べればはるかに少ないです。
さすがに一度テキシアで痛い目に遭ったので安易に引っ掛かることはなかったということなのでしょう。
とは言え教訓としては「一定割合の人は何度も騙される」ということです。
その特徴としてはやはり高齢者が多いようですね。若い人であればネットで検索したり、他の人のアドバイスを求めることもできますが、高齢者であるとそうも行かなそうです。
つまり高齢者は情報弱者であるということです。
しかもお金だけは持っているわけですから、悪徳業者や詐欺グループのカモとなるのも当然な気がします。
高齢者は一度お金を溶かしてしまうと、そこから貯蓄をリカバリーするのはほぼ不可能ですのでより悲惨ですね。
その対策としてたとえば銀行で、「銀行員に使い道を説明しないと解約できない定期預金」を提供してもらうのはどうでしょうか?銀行員であれば、高齢者ほど簡単に騙されることはないと思いますので、かなりの抑止力になる気がします。
あるいは直接の抑止力になるわけではありませんが、「投資詐欺保険」みたいなものがあれば、仮に詐欺に引っ掛かってもある程度リカバリーできます。
騙された人の「自己責任だ」と言い放つのは簡単ですが、加齢と共に誰でも情報弱者となる可能性があります。
社会全体で投資詐欺を防ぐ仕組みが求められますね。
ではいつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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