当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはアイリー株式会社が開発する「QuattroDS(クアトロDS)」と呼ばれる潜水艦投資プロジェクトです。読者の方から以下のような投稿をいただきました。
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アイリーは疑わしい金融商品やファンド、無登録業者です。沖縄で展開中の「潜水艇事業、クワトロDS」への出資者を募り、マルチ商法で会員を勧誘。根拠がまったく示されていない状態で、ありえない利率や高配当をうたっています。
例:
・参加金額に対しての想定利回り、月利15パーセント
・潜水艇一艇あたりの想定売り上げ10億円/月、想定利益3億円/月、分配資源1億5千万/月
などなど。
また、勧誘者に対して金融庁に登録しているのかどうか?ちゃんとした会社なのか?を尋ねたところ、その辺は確かではないが、ドバイ法人との合同会社とのことで、日本の金商法は適用されないから大丈夫、というような説明を受けているから大丈夫とのこと。
全く道理が通らない話ばかりで、疑わしさしか感じられない。
書面での契約書は一切なく、知人、友人などから勧誘を受けた者は、ラインを介して誘導され、クワトロ会員サイトへの無料会員登録をすることで、契約書などを交わすことは一切なく、誰でも簡単に出資を開始することができます。サービス利用規約のページには、サービス利用規約およびQuattro限定株式申請、とあります。
一切の契約書の取り交わしなしに、いきなり株式投資ができるというのは、あり得ない話であり、十分に疑わしいため、金融庁に登録があるかどうかを私自身で電話で確認したところ、現時点で私の手元にある会社名では登録はない、とのこと。
本案件以外にもいくつかの投資商品があり、株主優待、高配当、などのほか、いわゆるマルチ商法による別途手当が毎月紹介者に入る仕組み。会員に対して、節税を謡い、ラオスのJBD銀行への口座開設を促すなど、誤解を生じる情報も提供しています。
会社名 アイリー株式会社(英語名:Irie corporation)
代表取締役 大川力也
〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー15階
TEL:03-5456-5632 FAX: 03-5456-5511
URL https://irie-group.co.jp
今現段階で素人の私が説明できる限りですが、これって、信用に値する会社なのでしょうか?
私の義理の姉がはまっており、どうにか手を引いてもらいたいと色々と調べてはみるものの、怪しさは満点でも、なかなかお姉さんの耳には入らず、「これは、大丈夫だから、他社とは違うから」の一点張りで。
どこかにこの情報を提供して詐欺かどうか調べてもらうことはできないのでしょうか??突然の質問で、すみません。
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最近よく思うのですが、投資詐欺は「ほぼほぼ宗教」ですので、堅く信じている人を改宗させることはかなり困難です。みんなから「詐欺」と言われるほど心を閉ざしてしまうので厄介ですね。
義理のお姉さんが実害が発生する前にご自分で目を覚まされることを祈っています・・・。
さて後先が逆になってしまいましたが、このアイリー株式会社が関係する潜水艦への投資「QuattroDS(クアトロDS)」は果たして投資してもいいものなのでしょうか?
チェックポイントを簡単にまとめるとこんな感じです。
・金融庁の許認可を得て投資募集を行っているか。
・投資実態は明らかになっているか。
・財務内容は公表しているか。
・個人から資金を集める経済合理性があるか。
・利回りは適正か。
で、それぞれ見ていくとこうなります。
・金融庁の許認可を得て投資募集を行っているか。→×
・投資実態は明らかになっているか。→×
・財務内容は公表しているか。→×
・個人から資金を集める経済合理性があるか。→×
・利回りは適正か。→×
という訳で「投資してはいけない」という結論で良いと思います。
もしマトモな会社であれば、金融庁から許認可を得られますし、投資実態を明らかにするでしょうし、財務内容も公表するでしょうし、わざわざ個人から高い金利でお金を集めなくても金融機関から1%と言った低金利で融資を受けることができます。
そしてそもそも月利15%という利回りがあり得ないですね。仮に1,000万円でスタートすると
・1年後:53百万円
・5年後:438億円
・10年後:192兆円
ということで、10年後には世界一の金持ちとなります。荒唐無稽ですね。
仮に百歩譲ってこの利回りが実現できるのだとしても、アイリー株式会社の資本金は1,000万円ありますので、それを使えば他人のお金を当てにしなくても世界一の金持ちとなれるわけで、わざわざ手間暇かけて個人からお金を集める必要などありません。
加えてもしそんなに有望なビジネスであれば金融機関が先を争って融資するはずですから、やっぱり個人のお金は不要です。
全く辻褄が合わないです。
既に結論が出てしまっていますが、せっかくなのでもう少し同社の投資内容をチェックしてみたいと思います。アイリー社自身は投資内容について詳しく述べていませんが、ステマサイトと思しきサイトではこのように紹介されています。
10万円単位で、最大30億円集めるということです。
想定利回りは「月利15%」ですが、配当開始は半年後です。半年間でお金を集めるだけ集めてドロンする可能性を強く感じます。
スケジュールはこのようになっています。
少なくとも潜水艇が納品されて事業が開始されてから投資の是非を検討してみるべきでしょうね。
とは言え。
10億円の投資で月3億円稼ぐには毎日1,000万円の利益を出す必要がありますが、「海中探査」や「海底資源採取」で一体いくらの利益が出るというのでしょうか。
そもそもこのデザインでどうやって「海底資源採取」「沈没船からの物品引き上げ」を行うのでしょうか。
またレジャー用途で考えても前途多難です。
費用が「100万円程度」と設定されている時点で破綻していますね。
2002年まで沖縄で運用されていた「もぐりん」の費用は大人1人1万2,800円でしたし、海外の潜水艇サービスも5,000円前後で提供されています。
つまりは数時間で100万円払う人などどこにもいないということです。
そうしたわけで、そもそも極めて疑わしい上に、その事業計画も全くもって荒唐無稽です。
投資するなど論外で、むしろこの半年間でどのような軌跡を描いていくのか、野次馬の立場で見守るのが一番良いと思います。
義理のお姉さんが投資されている質問者の方には申し訳ないですが・・・。
では上記と重複している部分もありますが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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