当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはクラウドクレジットですね。クラウドクレジットについてはこれまで以下の記事にて検証しています。
>>>利回り7.0%!クラウドクレジットは魅力的?
同社について、読者の方から以下のような投稿をいただきました。
−−−
ソーシャルレンディングの広告を目にしました。とても高利回りの商品でした。クラウドクレジットと言う名前でした。
4.8%〜12.5%の表面利回りだそうです。不思議に思ったのこんな低金利時代に一般人からお金を集めなくても銀行から低金利で借りれると思うのですがどういう事なのでしょうか。
−−−
伊藤忠やマネックス、SBI、第一生命、三菱UFJと言ったそうそうたるメンバーが株主となっている点に安心感を持ちますが、現状このような商品が販売されています。
これらの商品の表面利回りは6.1%〜9.0%となっていてなかなか魅力的です。
ただし、当サイト利用者の方は良くご存じの通り、ノーリスクでこういった高いリターンを得られることはありえません。この世にあるのはローリスク・ローリターン、ミドルリスク・ミドルリターン、そしてハイリスク・ハイリターンの3つだけですね。
あえて言えば「ハイリスク・ノーリターン=詐欺的商品」を付け加えてもいいですが。
とするとこれらのファンドにはやはり6%〜9%と言ったリスクが「ないとおかしい」ということですね。
逆にそうしたリスクが積極的に開示されていないのであれば、「疑わしさ」は増していくことになります。
そんなわけで一番上に表示されている「バランス型パッケージ38号」を詳しく見てみたいと思います。期待利回りは9%ですが、その裏返しとしてあるはずのリスクは何なのでしょうか?
その第一歩としてまず商品内容を見てみるとこうなっています。
−−−
・「バランス型パッケージ」は、分散投資のメリットを追求し「貸付先となる事業者」「通貨」「貸付期間」の組み合わせが異なるファンドをバランスよく購入いただけるパッケージです。
−−−
なるほど。では具体的なパッケージの中身をチェックするとこうなっています。
新興国ばかり、いかにもリスクが高そうな通貨建てで、いかにもリスクが高そうな投資先に投資しているファンドということですね。
一番上の、組み入れ比率が最も大きい投資先の1つである「【ロシアルーブル建て】ユーラシアオンライン金融事業者ファンド27号」をチェックしてみると投資先は
・LIME ZAIM HOLDINGS LIMITED
となっています。ただしこの会社は社員が2名しかおらず、中核会社は債務保証をおこなっている
・MICROFINANCE COMPANY “LIME-ZAIM”
と言う事のようです。
で、貸付先である「LIME ZAIM HOLDINGS LIMITED」 は黒字である一方、グループである「MICROFINANCE
COMPANY “LIME-ZAIM”」の連結決算についてはこう記載されています。
・グループ全体としての実質的なバランスシートが一時的に債務超過の状態にある可能性がある旨を確認しております。
債務超過なのですね!つまりは相当な赤字が溜まっているということです。普通、銀行は債務超過の先には融資しませんので、その代わりにこうしたクラウドファンディングを利用するというのはLIME−ZAIMグループにとっては経済合理性がありますが、問題は日本の投資家がそのリスクを正しく把握しているのかどうか、そしてこの12.1%という利回りが本当にそのリスクに見合ったリターンなのかどうかというのはかなり微妙なところですね・・・。
言い換えれば
・クラウドクレジットが募集するファンドの表面利回り6〜9%の裏側には同じくらいの破綻リスクがある。
ということで良いかと思います。
投資詐欺ということはなさそうですが、「かなりのハイリスク商品である」という認識は必要ですね。
加えて気になるのがこのサービスを提供しているクラウドクレジット社自身のリスクです。もし仮に運用の途中でクラウドクレジット社が破綻してしまうと、いくら運用が順調でも投資資金の回収は困難になります。
投資先は新興国の会社ですからね。法整備もどこまで進んでいるか不明です。
ではクラウドクレジットの業績はどうなっているかと言うとこうです。
何と単年度で4億円を超える赤字を垂れ流しているということですね!同時期の純資産が5億8千万円のようですので債務超過へと爆走中です。
結論から言えば
・投資先のリスクが高いだけでなく、運用会社のリスクも高い
と言う事ですから、投資しない方が良いです。
投資するとしても、少なくともクラウドクレジット社の黒字化が必須ですね。
ちなみに前回のコラムでも指摘したことですが、伊藤忠やマネックス、SBI、第一生命、三菱UFJと言った大企業が株主でありながら、なぜ6%〜9%といった「法外な利息」を払ってまで資金集めをしないといけないのか謎ですね。
投稿者の方の疑問にもある通り、出資者の信用力を利用すれば銀行から1〜2%といった低利で資金調達をすることは簡単だと思います。
謎ですね・・・出資者の信用力を持ってしても銀行から融資を受けることが出来ないという事なのかもしれませんが。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
![]() |
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |
![]() |