当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは利回り3.5%を喧伝する、SAMURAI証券のクラウドファンディングである「SAMURAI FUND」の「江戸川区不動産
日本保証 保証付きファンド」です。
ちなみにSAMURAI証券についてはこれまで以下の通り取り上げてきました。
>>>どこもかしこも赤字だらけ!SAMURAI FUND&大家ドットコムは魅力的?
>>>利回り7%!SAMURAI FUNDは魅力的?
>>>利回り5.5%!SAMURAI証券はやっぱり大赤字
またSAMURAI証券の前身はAIP証券で、同社については以下の通り取り上げてきました。
>>>必見!クラウドファンディング「スマートエクイティ」は大赤字
>>>スマートエクイティ 酵素サプリボンド6%は魅力的?
>>>スマートエクイティ スリランカ預金ファンド5%は魅力的?
では早速「江戸川区不動産 日本保証 保証付きファンド」の商品内容を抜粋するとこうなります。
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このファンドは、SAMURAI ASSET FINANCE株式会社が不動産事業者Bに対して貸し付けする貸付型クラウドファンディングとなります。
今回のファンドも、株式会社日本保証による債務保証によって、“保証付きファンド”を実現しました。債務保証が付いていることで、元本割れのリスクを大きく低減することができます。
担保設定されている対象不動産はJR「小岩駅」より徒歩約10分の好立地です。
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利回りは3.5%ということで、これまでの同社ファンドと比較すると低いですが、他方で赤字企業であった同社が銀行から資金を借りようと思えばそれくらいの水準になることも考えられることから、「高すぎない」という点で許容範囲と言えるかもしれません。
こうした投機商品については「利回りが高すぎない」ということが、詐欺を見抜くための大事なポイントですね。
銀行から低金利でお金を借りられる時代に、高い金利をエサに個人からお金を集める商品は100%詐欺であり、ポンジスキームだと言えます。
一方、貸付先は「不動産事業者B」 となっており、相変わらずの秘密主義です。金融庁からは貸付先の開示を求められていますが、同社はまだ不適切なままということですね。
さらに担保設定されている不動産についてもこのように説明されています。
土地の値段についてはかなり透明性がありますので、住所と広さが書かれていれば素人でも大体の市場価値が分かるわけですが、どちらも明記されていませんので評価額の4,839万円が適切なのかどうか全く分かりません。
評価方法も「土地残余法による収益評価により算出した価格」ということで難解です。なぜ路線価を利用しないのでしょうか?
さらに百歩譲って本当に評価額が4,839万円だとしても、そこに極度額5,700万円を設定すれば確実に「担保力不足」ということになりますね。
本来であれば本件の資金調達額である3,800万円を上限とすべきです。
加えてこのファンドは「株式会社日本保証による債務保証」付きという事ですが、ただいつもご案内しているようにこの「株式会社日本保証」は「Jトラスト株式会社」の100%子会社であり、Jトラスト社の信用力に大きく依存します。
ではJトラスト社の業績はどうなっているかと言うとこうなっています。
前々期まで−60億円の赤字だったものが、前期=2021年12月期は+9億円と黒字回復しています!
それは素晴らしいことなのですが、決算短信を見るとこのように記載されています。
つまりは訴訟で勝ったお金78億円をなぜか特別利益ではなく営業利益に計上したのですね。
もちろんこれは一度切りのものであり、営業活動に伴うものでもありませんので、本来は営業利益に含まれるべきものではありません。
というわけでこの78億円を控除すると「本当の業績」はこうなります。
・営業利益:53億円→−25億円
・税引き前利益:59億円→−19億円
つまり実質的には大赤字だということです。むしろ前々期より悪化していませんか?
そのように考えると「株式会社日本保証による債務保証」もそこまで頼りになるものではないことが分かります。
ちなみにこのファンドの営業者である「SAMURAI ASSET FINANCE株式会社」の決算はこのようになっています。
前々期の決算が最新ですが、純利益は赤字ですね。
同社は現在、 「SAMURAI FINANCIAL HOLDINGS株式会社」の子会社となっているようですが、このSAMURAI FINANCIAL
HOLDINGS社については決算が開示されていないので黒字か赤字か分かりません。
したがって現時点ではこのファンドの関係者が全て赤字もしくは業績非開示となっており、信用力はほぼありません。「投資してはいけない」ということで良いのではないでしょうか。
逆に言えば投資を検討するとしても、
・貸付先も含め全ての関係者の業績が開示されること
・その全ての業績が黒字であること
が必要になってくるものと思います。慎重にご検討ください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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