当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは表面利回り4.6%→分配金利回り3.5%を謳うミサワホーム不動産の「MISAWA SMART FUND 日暮里」です。
いつものように「区分1室だけ」かと思いきや募集総額5億円ということで1棟なのですかね?さすがミサワです。
ファンド概要を抜粋するとこうです。
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・募集総額:500,000,000円
・対象不動産価格(税込):500,000,000円
・申込単位(税込) 1,000,000円
・想定運用期間 10年間
・想定表面利回り 4.60%
・想定分配金利回り 3.53%
・分配金の計算方法:賃料収入等から運営にかかる費用(建物管理費、固定資産税等)を控除した金額を分配します。
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表面利回り4.6%と分配金利回り3.5%の差は運営費用が引かれるからということですかね。
都心の築浅1棟RCマンションの利回りが4.6%というのは肌感覚としてはそんなものかな、という気がします。
ただ自分で投資した場合には運営費用だけでなく、
・家賃下落損失
・空室損失
・修繕費用
が発生し、利回りはさらに低下することになります。こうした損失が投資家持ちなのかファンド持ちなのかで魅力度合いは大きく変わりますが、ざっと見た感じ明記はされていないようですので、気になる方は確認してみてください。
次に物件の概要はこうです。
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・所在地:東京都荒川区東日暮里二丁目32番2号
・交通:東京メトロ日比谷線「三ノ輪」駅 徒歩9分
・地積:宅地/182.01u
・構造:鉄筋コンクリート造地上5階建
・延床面積:493.70u
・竣工年月:2019年3月
・戸数:14戸
・建物名称:ラシクラス日暮里
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投資先の透明性が確保されているのは素晴らしいですね!他社も見習ってほしいです。
まず地価は実勢で98百万円。なので建物価格が4億円ということになります。
毎月の家賃収入を1部屋10万円くらいとすると、月140万円=年1,680万円。利回り4.6%で割り戻すと3億7,000万円。うーん、5億円はちょっと高いですかね。
家賃が仮に平均12万円とすると、年2,016万円。利回り4.6%で割り戻すと4億4,000万円。やっぱり5億円は割高です。
これは10年後に「売却損」として実現するリスクがありますのでご注意ください。
最後にこのファンドを組成・販売しているのはミサワホーム不動産ですが、親会社であるミサワホームの連結決算はこうなっています。
これまた透明性が確保されていて素晴らしいですが、前期は税引前で59億円の黒字となっており、その点ではまずまず安心できそうです。
と言うわけで
・実質的なリターンがどうなるのか不透明な面があり
・物件価格は割高に思えるものの
・運営会社はそれなりに信頼できそうで
100万円など、比較的少額で挑戦するなら悪くないかもしれません。
では筆者が実際にこのファンドに投資するかと言われると・・・しないでしょうね。と言うのも足元のJ−REITの配当利回りは3.85%となっており、このファンドの予想配当利回りより高いからです。
加えて透明性はさらに高いですし、いつでも買えていつでも売れます。場合によっては積極的にキャピタルゲインも狙えます。
個別に見れば分配金利回りが5%を超えるREITも複数ありますしね。
そうしたわけで不動産ファンドに興味がある方は、合わせてJ−REITも比較検討されることをお勧めしたいと思います。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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