当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはエクシア合同会社ですね。同社についてはすでにこちらのコラムで取り上げていますので、「そもそもエクシアって何だっけ?」と思われた方は先にご覧ください。
>>>50代男性「エクシアジャパンは投資詐欺ですか?」
また、その後も何度か検証記事を書いておりますので、興味がある方はこちらのコラムもご覧ください。
>>>資金繰り悪化!?エクシア合同会社(EXIA)が出金に応じない
>>>エクシア合同会社(EXIA)のウソの続きと最近の異変
>>>エクシア合同会社(EXIA)のウソ
>>>エクシア合同会社(EXIA)がポンジスキームである証拠とは?
>>>2021年7月時点でのエクシア合同会社(EXIA)疑惑点まとめ
>>>サイト内容からエクシア合同会社(EXIA)が増々怪しくなった件と疑惑点まとめ
>>>動画「ポンジスキーム第3弾EXIA編」のとても残念な点
>>>エクシアに関するタレコミや口コミをご紹介
>>>エクシアから出金できないというツイートの報告がありました
>>>EXIA JAPANは詐欺業者、との投稿がありました
>>>46ヶ月連続プラスリターン!エクシア合同への投資は危険?
>>>エクシアはサイト閉鎖中!ステマサイトをチェックしてみる
>>>エクシアジャパンについて金融庁に調べてほしいこと
>>>エクシアジャパンはポンジスキームですか?
さてこれまでいろいろな角度から同社の疑惑について取り上げてきましたが、先日のコラムにて個人的には最終結論に達した感があります。
これまで指摘してきたように最大の疑惑は、運用主体であるEXIA PRIVATE LIMITED社の運用状況がよく分からない点でした。
もしこのEXIA PRIVATE LIMITED社に十分な資産残高があればちゃんと運用されている証拠であり、ポンジスキームではなく、真っ当な投資対象であることになります。
他方で、もしこのEXIA PRIVATE LIMITED社にほとんど資産残高がなければ投資家の資金が溶かされていることになりますので、ポンジスキームと考えて間違いなさそうです。
そんな気になるEXIA PRIVATE LIMITED社の資産内容ですが、2018年の財務情報はこうなっていました。
Total assets=資産は4,236シンガポールドル、1ドル=80円とすると約34万円です・・・オイオイ。
そしてTotal liabilities=負債は115,821ドル、つまり約927万円です・・・オイオイ。
つまりは「EXIA PRIVATE LIMITED社の運用実態は全くない」ということですね!
というわけで、これまで「EXIA PRIVATE LIMITED社で運用しているよ」と言っていたものが空っぽだったわけですから、この決算書が正しいのであればエクシア合同会社がポンジスキームである可能性は高そうです。
そんなエクシア合同会社ですが、こちらも先日のコラムでご案内したように、ついに出資者からの4月の出金申請を全て断る事態になっています。時系列的にはこういうことですね。
・2月出金申請→一部拒否→5月頭に着金済
・3月出金申請→一部拒否→5月末に着金予定
・4月出金申請→全部拒否
・5月出金申請→?
さすがに受理したものを支払わないとデフォルトになりますので支払うのでしょうけれど、5月以降の出金申請が受理されるのかどうかは不透明です。
ただ4月に拒否された分が5月に回り、さらに新たな出金申請も加わるでしょうから、
・今後出金申請額は増えることはあっても減ることはない。
と予想されます。であれば、「先月に返金できなかったものが今月に返金できるはずもない」ということになりますので、常識的に考えると全額の返金は厳しいものと思われます。
あるとすれば、
・全員一律、申請額の5%返金
・申し込み順で数名のみ返金
と言ったように「返金の意思」を示しつつ、延命を図ることでしょうか。昨年秋に実質的に破綻したスカイプレミアムがダラダラと細かな返金を続けているのと同じやり方ですね。
出資者のお金が1円でも多く返ってきてほしいとは思うもののどうなるでしょうか・・・。
ちなみにエクシア合同会社は先日のコラムで指摘したオウケイウェイヴ社との取引疑惑を否定しつつ、このような内容のプレスリリースを行っています。
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株式会社オウケイウェイヴ(以下「オウケイウェイヴ社」)による2022年4月19日付適時開示資料「債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ」(以下「本プレスリリース」)に関連し、現在、SNS等のインターネット上の投稿には、当社がオウケイウェイヴ社の資金運用の委任先であるかのような投稿が見られますが、事実誤認であり、本プレスリリース記載の投資運用会社は当社とは全くの無関係の会社です。
現在、本プレスリリースに起因して誤解されたと思われる社員の方々からの当社への出資や持分の払戻請求が一時的に相次いだため、やむを得ず、社員権取得契約書及び定款記載の条項に従い、出資や持分の払戻の制限(以下「払戻制限」)を行っております。当社社員の皆様には、ご不便をおかけして申し訳ありませんが、今般の誤解に基づく多数の払戻請求という異常事態が落ち着き次第、従前どおりの払戻対応に戻ることを予定しておりますので、ご安心の上、落ち着いて行動頂けますよう重ねてお願い申し上げます。
>>>エクシア合同会社
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主題は疑惑の否定ですが、よく読むと何やらおかしなことが書かれています。抜粋するとこうです。
・現在、本プレスリリースに起因して払戻請求が一時的に相次いだため、やむを得ず、払戻の制限を行っております。
オウケイウェイブ社のプレスリリースは4月19日付ですが、先日のコラムでもご案内したようにその前の4月1日の出金申請ですら却下されていることがネット上の書き込み等で判明しています。
つまりは「4月19日のプレスリリースに起因して払戻請求が一時的に相次いだため払戻の制限を行っている」 というのは苦しい言い訳だということです。
もっと言えばウソですね。
もちろんオウケイウェイブ騒動によっていよいよ進退が極まったというのはあるのでしょうけれど・・・。
さらにエクシア社から出資者に向けて以下のような説明メール(抜粋)が送信されたことが複数のソースから確認できます。
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今月の評価額返還上限到達に関して、詳細をお伝えいたします。
改めてご認識いただきたいのが、弊社は皆様から出資していただいた資金を元に自己資産運用と様々な事業に投融資をしております。
しかし、昨年秋頃より他投資会社の出金の遅延やSNS上の事実と異なる誹謗中傷に起因する評価額出金及び解約の金額が増加しております。
出資者様のご要望にお応えするべく事業計画に支障を来さぬ範囲で出金や解約にお応えしておりますが、上限というのは事業に支障を来さず継続させる為に設けております。
毎月いつでも出金できる金融機関、金融サービスと誤認されることも多いですが、そうではなく、出資をしていただき、事業を行いその事業利益を出資者様に返戻させていただき、評価額とさせていただいております。
>>>敬天新聞
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「なるほど、それなら仕方ない」と思われた方は人が良すぎるかもしれません。
まずそもそもおかしいのが
・自己資産運用と様々な事業に投融資しているから出金できない。
というロジックです。同社の現在のビジネスストラクチャーはこのように説明されています。
まず投資事業であるエクシア・アセット・マネジメントは営業活動を行っていなさそうですし、エクシア・デジタル・アセットは超赤字企業です。
融資事業の実態は不明ですが、どれだけ金利が高くても最大で年15%、つまり月1.25%です。年15%の高利でお金を借りる企業があるかどうかは別にして。
しかしエクシア社が発表している利回りは下記の通り、月3%程度で安定しています。
つまり「本当に運用しているのであれば」、高い返戻率から逆算すればその運用先は「FX・CFDでの自己運用がほとんど」でないと説明がつきません。
そしてFX・CFDでの自己運用がほとんどであればいつでも換金できるはずです。
そのように考えれば、エクシア社の「返金できない理由」というのは発表している返戻率と全く辻褄があっていないということです。
エクシア社CEOは、過去のHP記載内容から推測すると保有資産は2兆円を超えていてもおかしくなく(下記参照)、最大数百億円の出資金の返済ができない理由が見当たらないという点も補足させていただきます。
とは言いつつ。
この説明メールの最大のハイライトはこの一文ではないかと思います。
・昨年秋頃より他投資会社の出金の遅延やSNS上の事実と異なる誹謗中傷に起因する評価額出金及び解約の金額が増加しております。
エクシア社の資金繰りが悪化したのはこの4月ではなく、昨年秋のスカイプレミアムの実質的な破綻から始まったということですね!
期せず して長年のエクシアウォッチャーとなってしまった記者からすれば、スカイプレミアムの破綻が警鐘としてエクシア出資者に届き、多数の人が資産を守ろうと行動を起こしたことに感慨深いものを感じます。
その結果が今般の出金停止につながったわけですが。
いずれにしてもすでに出資されている方は、あらゆる手段を使ってご自身の大事な資金を確保されることをお勧めします。
ポンジスキームじゃなければ全員が出金しても潰れませんので、それを確認してから再投資を検討しても遅くはないと思います。
ちなみに昨年秋に幹部が逮捕された「西山ファーム事件」ではこのような時系列になっています。
・2004年:創業
・2018年:出資者への配当の支払いが徐々に滞り始め、各地で民事訴訟に発展。
・2019年:メディアが取材
・2021年:幹部逮捕
つまりは配当が滞って訴訟が起き始めてから、実際に逮捕されるまでに何と3年もかかっているということです。
エクシア問題が今度どのような展開となるのかは分かりませんが、どう転ぶにせよ数年単位の時間がかかりそうですので、出資者の方は長期戦に備えていただければと思います。
繰り返しになりますが、出資者のお金が1円でも多く返ってくることを祈っております。
では前回に引き続き、2022年5月現在のエクシア合同会社の疑惑点についてまとめておきます。
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2022年5月時点のエクシア合同会社(EXIA)の疑惑点まとめ
1.エクシア合同会社の説明によれば、2021年秋以降出金要請が増加する中、2022年4月には出金要請を全て断っており、資金繰りが長期的に相当悪化していると推察される。
2.エクシア合同会社の運用先であるイギリスのEXIA LIMITED社は2018年7月に解散済み。シンガポールのEXIA PRIVATE LIMITED社は、2017年〜2018年の決算書を見ると債務超過かつ赤字であり運用実態はない。2019年以降は決算書が提出されていないことから、やはり運用実態はほぼないものと思われる。投資家の資金はどこに消えたのか?
3.エクシア合同会社も2020年以降の決算書の開示を取りやめており、「開示できなくなった」と考えるとさらに疑惑が深まる。サイトからは経理顧問や税務顧問も削除された。
4.エクシア合同会社への投資は金融商品取引法の「対象外」で金融庁は関与せず。ポンジスキームでないことを確認するには、最低限、同社が金融商品取引業の登録を受ける必要があるが、いまだに登録を受けられていない(金融庁が許可しなかったという情報あり)。
※なお同社の貸金業登録や、エクシア・アセット・マネジメント株式会社の第二種金融商品取引業(投資助言・代理業)登録、エクシア・デジタル・アセット株式会社の暗号資産交換業者登録は、同社のFX・CFD運用に関する許認可ではないので全く関係ない。
5.リスクとリターンは連動しており、特に勝ち負けが激しいFX運用で同社として5年間一度も負けがないというのは信じがたいが、その運用内容や運用記録は開示されていない。
6.同社弁護士から過去3度ほど記事削除の依頼があったが、こちらからの質問にはほとんど回答せずに打ち切り。やましいことがないのであればなぜ一方的に打ち切るのか?その弁護士も、「同社の顔」であった若狭氏も、既に同社から去っている。
7.同社CEOの2017年時点での年間平均利回りは308.44%とのことであり、2008年に100万円でスタートしたとして2017年以降の返戻実績の値を加えると2022年4月時点の同社CEOの資産は2兆3,150億円となり、日本で第4位の富豪ということになるが、そんな話は聞いたことがない。
※なお同時に併記されていた月間利回り25.70%で計算すると、仮に2008年に1万円でスタートしたとしても2022年4月の時点で3,914兆円の金融資産を持っていることになる。ちなみに日本の家計全体では1,901兆円。
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最後にいつものように「合同会社への出資」に関する国民生活センターと東京都の注意喚起をご案内しておきます。
>>>相談事例
>>>「合同会社への出資」って何?怪しげなもうけ話に注意!
国民生活センターの指摘通り
・合同会社の社員権の自己募集では、第二種金融商品取引業の登録の必要がなく、消費者保護ルールも十分ではない。
・会社法では合同会社への出資の払戻しには制限があるため、トラブルになった際、消費者にリスクが生じる。
ということです。繰り返しになりますが、合同会社の社員権への出資は投資家を守ってくれる金融商品取引法の「対象外」なのです。
同社への投資をご検討の方は国民生活センターと東京都の以下の言葉をしっかり噛みしめていただければと思います。
・実質的には集団投資スキーム持分の自己募集であるにも関わらず、合同会社の社員権の自己募集というかたちで規制を逃れようとする事業者には注意が必要である。
・「合同会社」の仕組みを悪用する事業者がいるので注意しましょう。
慎重にご検討ください。自分のお金は誰も守ってくれません。
ではこれまたいつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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