当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは、最新ファンドの利回りが4.5%の、株式会社LAETORIが提供する不動産クラウドファンディングの「COZUCHI」です。ローリスクで4.5%の利回りが得られるならとても魅力的ですが果たしてどうなのでしょうか?
ちなみにCOZUCHIについて現時点では何も知識のない記者ですが、第一印象はと言うと・・・
「満足度」No,1ではなく「満足度が高いと思う」No,1って何だよ!とまずツッコミをいれたくなりました。こういう低レベルな印象操作は嫌いです。
それはともかくとして最新ファンドの詳細を見ていきたいと思います。募集条件はこんな感じですね。
募集金額が2億97百万円なのに対して、応募金額が15億円ということですから約5倍です。なかなかの人気ですね!
利回り4.5%でもそれなりの金額が集まるものなのですね。概要を引用するとこうなっています。
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本ファンドは、JR山手線 秋葉原駅から徒歩6分、東京メトロ銀座線 末広町駅から徒歩2分にある、完全所有権の土地・建物を投資対象としています。
本物件はディスカウントした仕入れを行っており、現況にて他の事業者へ売却することも可能ですが、開発用地としてワンルームディベロッパーへ売却することで更なるキャピタルゲインが見込めるファンドとなります。
本ファンドの投資対象は、相場価格よりも約33%ディスカウントで仕入れを行っております。
本物件は秋葉原駅から徒歩6分と好立地かつ自由に売却・処分が可能である資産価値として高い完全所有権の取得でありながらも、1号事業者のTRIAD社が本案件に関する情報入手が早く、競合なく取引ができた為、割安で取得できています。
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確かに33%ものディスカウントを受けているのであれば、4.5%の利回りなど全く惜しくありませんね。
他方でまともな会社で担保がある場合、銀行から0%台の金利でお金を借りられますので、なぜわざわざ個人投資家を集めて4.5%もの利息を払うのか?という点は引っ掛かります。
それはともかくとして、では対象不動産の時価はどれくらいなのでしょうか?所在地は
・東京都千代田区外神田4丁目
となっています。このエリアの地価を調べると
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・価格相場:347万円/坪 (105万円/u)
・平均駅距離:2.9 分
・平均土地面積:50.8 坪 (168 u)
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ということのようです。大通りに面しているわけではなく、「一本中に入ったところ」ということのようですのでこれくらいの値段で妥当なのではないでしょうか。物件の概要はこうなっています。
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<土地>
・面積:149.70u
・建蔽率:指定80%
・容積率:基準約480%
・用途地域:商業地域
・権利:所有権
<建物>
・構造:鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
・延床面積:1階部分116.02u、2階部分100.80u、3階部分100.80u、4階部分35.53u
・権利:所有権
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「開発用地として売却することで更なるキャピタルゲインが得られる」ということですから建物価値はマイナスです。となると計算は簡単でこの物件の時価評価は
・149.7u×105万円=1億5,700万円
となります。では募集金額はいくらだったかと言うと・・・2億9,700万円!約2倍です!
めちゃめちゃ高値掴みしているような気がするのですがいかがでしょうか・・・。
そうしたわけでこの案件に対する疑問符が大きくなってきたところでこのCOZUCHIの運用会社である株式会社LAETORIの財務情報を確認すると、クラウドファンディングサイトでも、同社サイトでも開示されていません。
開示されていなければこの会社のリスクも、このクラウドファンディングサービスのリスクも判断できませんので、「投資してはいけない」という結論でいいのではないでしょうか。
ちなみに同社は前身であるSATAS社時代にGFA株式会社と資本業務提携を行っており、そちらのプレスリリースをチェックすると財務状況についてこのように説明されています。
まず売上高が急激に下がっていることが分かります。毎年半減するペースですね。
他方で当期純利益はなぜか上昇基調ですが、それでもまだ個人商店レベルの利益額ですし、2018年6月期は赤字だったことを踏まえると財務基盤が脆弱であるのは間違いありません。
最新の2021年6月期決算も公表されていませんし、終わったばかりの2022年6月期の中身も分かりません。となるとやはり投資できないということでいいと思います。
加えてもう1点、ちょっと気になることがあるとすると、2021年に社名もサービス内容も変更されています。
・社名:SATAS→ LAETORI
・サービス名:WARASHIBE→COZUCHI
ついでに言うと経営陣も刷新されています。
ネットを軽ーく検索した限りでは特に悪いニュースは出てきませんでしたが、普通に考えればやはり「何かあった」のでしょうね。この点も懸念材料の1つとして加えさせていただきます。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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