当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは「わかちあいファンド」と言う、何とも怪しげな名前の商品です。怪しい商品ほど甘い名前が付けられますからね。この「わかちあいファンド」については過去にも取り上げていますのでご興味がある方はご一読ください。
>>>利回り4.1%!わかちあいファンドは魅力的?
まず運営会社についてですが「株式会社日本プロパティシステムズ」とのことです。いかにも大企業然とした社名ではありますが、従業員は26名です。中小企業ということですね。
そして気になる財務状況ですが、会社HPでは公表されていません。その点では「投資してはいけない」という結論で良いと思います。万が一、同社が倒産でもしたら回収は極めて困難になるわけですが、財務状況が公表されていなければそのリスクを判断できませんからね。
そんなわけで既に結論が出たわけですが、それだと話が終わってしまいますので現在募集中のファンドである「わかちあいファンドPJ新軽井沢第T期」について見ていきたいと思います。物件の概要はこうですね。
優先出資枠が2億1,500万円ですので少なくともこの物件の評価が2億1,500万円以上であることが必要ですね。実際には劣後出資部分もありますので、「2億5,000万円」と言った価値がないとおかしいのですけれど。
それはともかくとして、土地の値段を計算してみると「軽井沢町軽井沢東」の地価は約8万円/uのようです。
とすると
・8万円×635平方メートル=5,080万円
となります。 ということは建物が
・2億1,500万円−5,080万円=1億6,420万円以上
と言う計算ですが・・・木造築40年という年数を考えると「荒唐無稽」ですね。はっきり言えば古屋として、「価値はゼロ」ということでいいかと思います。
念のためこのエリアの戸建ての販売データをチェックしてみるとこうなっています。
築年数的には2つ目、土地の広さ的には4つ目が近いですが、1億円にも満たない金額です。
ただいずれも5年・10年前の金額ですので今とは相場が変わっている可能性がありますね。というわけで現在販売中の物件から、この物件に近しいものを探してみます。
まず1つ目はこちら。
こちらは土地の広さ的にも建物の面積的にもちょうどいい比較対象となりますね。駅からの距離は倍違いますが、他方で築年数は圧倒的に新しく同じような値段になるのではないかと推測します。こちらの物件は何と4,450万円です。
2つ目はこちら。
こちらも土地の広さ、建物の広さ、築年数、駅からの距離を見ると、良い比較対象となりそうでお値段は8,000万円です。
つまりはこの物件の価値は、仮にフルリニューアルしたとしても「1億円あるかないか」であることが予想され、とすると「2億1,500万円以上」に設定されているこのファンドでの価格は「あまり高い」と言えます。
仮に2億1,500万円集めて、実際の販売価格が1億750万円であれば、投資家の損失は「−50%」というべらぼうなものとなります。
このように投資物件の時価を考慮すると・・・「高値掴み」であることが推測され、やはり「投資してはいけない」という結論になりそうです。
加えて最初にご案内したように、この会社の経営状況が分からない点を考慮すれば尚更です。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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