当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは「三井物産グループ発!」と謳う、三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社の「ALTERNA(オルタナ)」です。こんな風に広告されています。
ぶっちゃけ、「三井物産」を騙る怪しい投資商品かと思ったのですが、この三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社は本当に三井物産の子会社のようですね。サイトを見ると出資比率はこのようになっています。
・三井物産:53%
・LayerX:35%
・SMBC日興証券:5%
・三井住友信託銀行:5%
・JA三井リース:1%
・イデラキャピタルマネジメント:1%
三井物産が過半を出資しているわけですね!その点では抜群の安心感があるのは間違いありません。必ず儲かる・・・かどうかは分かりませんが、他のソーシャルレンディングのように、「実質的なポンジスキーム」と言ったことにはならないでしょうね。
では具体的にどんなファンドがあるかと言うと、プレスリリースによれば、1号案件はこうした内容のようです。
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・商品名:三井物産のデジタル証券〜日本橋・人形町〜(譲渡制限付)
・発行口数:14,720口
・発行価格/申込単位:1口100,000円/1口以上1口単位
・運用期間:4年10ヶ月(予定)
・募集有価証券の種類:受益証券発行信託の受益権を表象するセキュリティ・トークン(ト ークン化有価証券)
・予想分配金利回り:3.0%
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発行口数はトータルで14億72百万円ということで、まずまずの規模ですね。
運用期間は4年10ヶ月。気になる分配金利回りは・・・3.0%。低い!
いやもちろん、定期預金や公社債などと比較すれば遥かに高金利ですが、しかし不動産投資の代表格と言えるJ−REITの分配金利回りは平均で4%を超えています。
流動性や信頼性、透明性といった点ではJ−REITの方が遥かに上ですから、わざわざ利回りが相対的に低い「オルタナ」に投資する意味を見つけるのは難しいですね。
J−REITの場合、解約したければ即座に売却できますし。
逆にJ−REITが値上がりして利回りが3%を割ってくれば、この「オルタナ」に投資妙味がでてきますが、そうなるのは随分先でしょうね・・・。
というわけで記者の中では既に結論が出ていますが、1号案件の投資対象はこうなっています。
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・物件名称:ステージグランデ日本橋人形町
・所在地(住居表示):中央区日本橋人形町二丁目17番1
・建築時期:2022年4月14日
・延床面積(登記簿):2,417.47u
・総戸数:65戸
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都心の素晴らしい立地ですね!念のためSUUMOで賃料水準をチェックしてみると、1戸あたり12.9万円前後のようです。
全部で65戸ですから満室賃料は1年で約1億円です。発行総額は上記の通り14億72百万円ですから、表面利回りは6.5%前後といった感じでしょうか。随分高いですね!
今のご時世では都心のマンションの利回りは4〜5%程度かなと思います。とすると足りない残りは発行体である三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社が劣後出資でもしているのですかね?
であればかなり親切と言えます。
ただそうは言いつつ、不動産投資なのに利回りが3%に留まるのはどうかなという気がします。1口=10万円だけ試しに投資してみるのは悪くないと思いますが、記者なら・・・やっぱりJ−REITに投資しますかね。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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