当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社ブリッジ・シー・キャピタルの不動産投資クラウドファンディング「creal」ですね。直近で募集しているものは24ヶ月×年4.2%となかなかの利回りですが、この投資は魅力的なのでしょうか?
なおこのcrealについては過去にも取り上げたことがありますので興味がある方はご覧ください。
>>>利回り6%!不動産クラウドファンディングcrealは魅力的?
今回は読者の方から以下のような投稿をいただきました。
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最近ユーチューブの広告でCREALをよく見かけます。不動産投資のようですが今のところ元本割れなしで利回りも5%あったりします。
上場企業のようですしある程度は安心な投資先なのでしょうか?
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前回は約3年前に取り上げたわけですが、何とその間に上場を果たしているのですね!もちろん非上場の会社より、上場企業の方が安心して投資できるのは間違いありません。
決算内容も気になるところですが、その前にまず商品の具体的な中身を見てみると、直近で募集されていたものは以下のような内容です。
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「 MetroResidences茗荷谷」
・募集金額:58,300万円
・想定利回り(年利):4.2%
インカムゲイン相当 2.4%
キャピタルゲイン相当 1.8%
・想定運用期間:24ヶ月
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想定利回り4.2%ということですが、creal側から見れば「万が一の時は返さなくていいお金」ということで、仮に銀行ローンでも純粋な不動産投資であればこれくらいの金利になる可能性はあり、それらの点を考慮すれば一定の経済合理性はありそうです。
またその内訳である、「インカム2.4%+キャピタル1.8%」という水準も、今の不動産市況であればそれほど無理のない目標であると思います。
ただし相場は水物ですからね。仮に不動産市況が右肩下がりとなれば、インカム2.4%は確保できてもキャピタル部分は大幅なマイナスとなる可能性があります。そうしたリスクを十分理解しておくことが重要ですね。
次に対象物件の価値が本当に5億8,300万円もあるのか、という点ですが、物件のスペックはこのようになっています。
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・所在:東京都文京区白山3-6-2
・敷地面積:127.10u
・竣工時期 :2023年2月
・延床面積 :500.57u
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白山の地価は概ねu100万円程度のようです。とすると敷地の価値は1億3千万円程度ということになります。んー500uの上物の価値が残りの4億5千万円分もしますかね?
相場が分からないので、該当物件の近くにあって似たような規模の物件を探すとこのようなものが出てきました。
この2つの物件の真ん中くらいと思えば、「5億8,300万円」という値付けは概ね適正と言えそうです。
あくまで現状の「マンションバブル」の元での値段ではありますが。
そうしたわけで、ここまでのところファンドの中身としては、元本割れリスクなどはあるものの、「投資してはいけない」と言うほどのものではなさそうです。
ではいよいよ会社の財務内容をチェックしてみたいと思います。直近の決算はこのようになっています。
意外と、と言ったら失礼ですが黒字なんですね!前期と比較してこのようになっています。
・売上高:105億円→164億円
・経常利益:2億円→4億円
・当期利益:1億円→3億円
売上に比して利益レベルは低いですが、それでも成長している点は良いですね。上記の通り、不動産市況が右肩下がりになった時に、成長を維持し、黒字を確保するのは難しいでしょうけれど。
ちなみに決算書に関して気になる点があるとすれば、投資家に支払う配当約4%がどこにも書かれていない点です。損益計算書にもキャッシュフロー計算書にも出てきません。そんなことってありますかね?
もしかすると「その他」の中に入っているのかもしれませんが。
ただ、ファンドに関する支払いは、最悪「払わなくてもいい」のだとすると、財務的にはそこまで気にする必要はないのかもしれませんが。
加えて、crealの信用力を補完するのが、運営会社である株式会社ブリッジ・シー・キャピタルはSBIの投資を受け入れ、SBIグループの一員になっているという点です。
とすると、仮に経営危機になったとしても、SBIグループの支援が得られそうな点はプラスですね。
ということで、ここまでのところこのcrealには一定の透明性が確保されており、明らかにおかしな点はなく、運営会社も黒字ということで、他の不動産型クラウドファンディングと比べればかなりマシですね。
少額であれば試しにやっていいのかもしれません。
では記者がこのcrealに投資するかというと・・・しません。というのも今のJ−REITの配当利回りは4.09%であり、このcrealと同じくらいにはリターンが得られそうだからです。
加えていつでも売却できますし、個別に見れば配当利回りが5%を超える銘柄も多くありますし、また銘柄分散も容易です。
仮に10社に分散投資すると、1社が倒れても損失は1割です。一方、crealの場合は分散できませんので、crealが倒れれば損失は100%です。
というわけで記者はいつものように不動産型クラウドファンディングに投資をするのであれば、J−REITを推したいと思います。
参考になさってください。
では最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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