当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社クレアスライフの不動産小口化商品「コンシェリアJAsset」ですね。サイトではこのような点が喧伝されています。
・500万円から都心不動産オーナーに
・比類のない安定した家賃収入、年利3%
・山手線エリアの好立地
3%の利回りが「比類のない安定した家賃収入」ということなら確かに魅力的ですが、実際のところはどうなのでしょうか?ということで募集中の物件を見てみるとこうなっています。
4,200万円のワンルームマンションを42口に分割して、5口から購入できるようになっている、「不動産小口化商品」ということですね。
まずこの物件の賃料はどんなものかと言うことですが、同じ建物ではこのようになっています。
11万円前後というわけですね。別途管理費がかかりますが、それはオーナーには入らないので、これをリターンとするとこの物件の利回りは
・(11万円×12ヶ月)÷4,200万円=3.1%
ということになります。この水準が高いか低いかですが、東京都心の新築ワンルームマンションの利回りをチェックするとこうなっています。
城東地区は4.4%ということなので、もしこの数値が正しければこの物件の価格は本来、
・(11万円×12ヶ月)÷4.4%=3,000万円
程度のところ、4,200万円で売りつけられているということですから、割高ということになります。もし投資するのであれば、このマンションの適正価格を把握する必要がありそうですね。
加えて実際にワンルームマンションに投資すると以下のような損失が発生します。
・空室損失:上記の通り現在3室が空室で、全体が55部屋ですから、空室率は5%ということになります。
・管理損失:管理費・修繕積立金以外に、現状復帰費用・修繕費用・広告費用・賃貸管理費用・清掃費用・税金などがかかります。
・賃料低下損失:賃料は築年数と共に徐々に低下していきます。
・減価償却:建物そのものの価値が老朽化で失われていきます。寿命が50年だとすると単純計算で年間2%ずつ価値が減ることになります。
試算としてはいろいろあり得ると思いますが、結論から言えば
・利回り3%だとトータルでは赤字
ということで良いと思います。減価償却だけで建物価値がざっくり2%ずつ減っていくわけですからね!
では逆にどういう場合にこの投資は黒字となるのでしょうか?考えられるのは以下2パターンかなと思います。
・マンションバブルが永遠に続き、このままマンション価格が上昇し続ける場合
・上記損失をクレアスライフが負担してくれる場合
前者については何とも言えませんが、バブル継続に期待する投資はリスクが高そうです。
後者については商品の内容やこれまでの運営実績をよく調べる必要がありますが、ただ営利企業である以上、何か運営赤字を上回る利益がない限り、損失を負担し続けてくれるわけがありません。やはり赤字となる前提で投資を検討する必要がありますね。
そのように考えると、潜在リスクが相当に高く、「投資してはいけない」ということで良いと思います。
ちなみにどうしても国内不動産に投資したい場合はJ−REITで十分ですね。透明性が高く、キャピタルゲインもインカムゲインも狙え、少額から投資ができて、いつでも売却できます。
足元の配当利回りは平均で4.2%ですね!個別には5%を超えるものもあります。
10年後にクレアスライフ社が存続しているか分かりませんが、J−REITは間違いなくありますからその点でも安心です。
参考になさってください。
では最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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