当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはダーウィンアセットパートナーズ株式会社の不動産型クラウドファンディング「DARWIN
funding」ですね。サイトではこのような点が喧伝されています。
・ 1万円から投資が可能 : 投資額は1口1万円から。投資の経験が少ない方でも無理なく始められます。不動産を小口化することでより多くの方々に投資して頂けます。
・信頼と安心 : 当社の全ての案件は、利回りだけで物件を判断するのではなく、状況に応じて最も適した物件を活用することで、皆様に安心して頂ける投資体験を実現します。
・圧倒的な多様性 : 新築、中古、一棟、オフィス等の不動産を限定せず、あらゆる建物をファンドの対象として提案します。
1つ目はともかく、2つ目・3つ目は「ちょっと何言ってるか分からない」内容ですね。
「状況に応じて最も適した物件を活用する」というのは言葉の意味からしてよく分かりませんし、「圧倒的な多様性」というのも果たしてそれが良いことなのかどうかも不明です。
では具体的にどんな商品が販売されているかと言えば、最新の商品はこちらになります。
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・DARWIN fundingがご案内する第14弾の案件は、吉野町駅まで徒歩2分、都心へのアクセスが良く、買い物も便利で治安のいい横浜エリアの新築レジデンスを建築するための開発型のファンドになります。
・開発型ファンドとは、開発用不動産の土地取得費用、建築費用を投資家様よりご出資をいただき、竣工の時期に完成した不動産を売却をすることで売却益を原資とした配当と償還を行います。今回の開発型11号ファンドは、建築費用の調達を目的とした開発型ファンドになります。
・募集金額 : \300,000,000
・想定利回り(年利) : 6.5%
・運用期間 : 365日
・優先劣後比率 : 80 : 20
<物件情報>
・D-STYLE
・所在 : 横浜市南区南吉田町
・敷地面積 : 82.64u
・延べ面積 : 556.11u
・完成予定日 : 2024年11月
・主要用途 : 共同住宅(17戸)
・構造 : 鉄骨造地上9階建
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利回りは6.5%ということで十分魅力的です。 一方で「竣工までの資金」ということですが、9階建てのマンションが365日で立つのでしょうか?1フロア2部屋なら十分可能なのかもしれませんが、確認すべきポイントでしょうね。
次にこの規模のマンションの開発費用が3億円というのは妥当なのかどうかですが、まず土地代は坪123万円程度のようです。
>>>ウチノカチ
また、鉄骨マンションの建設費用は26万円/u程度のようです。
>>>ホームフォーユー
そこから推定されるマンションの原価はこうなります。
・82.64u×123万円÷3.3(坪)+556.11u×26万円=1億8千万円
3億円の募集資金は原価よりかなり高く、高値買いの可能性は十分あります。
加えて、なぜ6.5%もの配当を出してまで募集しているのか、その動機も不明です。カネ余りの日本ですから、まともな企業がまともな担保を保有していれば、かなりの低金利でお金を借りられるはずですね。
運営サイドの経済合理性についても確認すべきポイントだと言えます。
最後に同社の財務状況はと言うとこうなっています。
総資産はたった19億円しかありません。完全に中小企業ですね。
また純資産も3億円しかありません。これはつまり、今回のようなプロジェクトが1つコケただけで会社が傾いてしまうということを意味しますし、優先劣後で2割程度を自己資金で賄うのであれば、今回のようなプロジェクトが10件もあれば余力がなくなります。
そのように考えると、それなりに危険な投資となるのは間違いありません。お勧めできませんね。
損益計算書はと言えばこうなります。
当期利益は39百万円ということでやはり中小零細企業のレベルですね。数億円のプロジェクトを主体的に回していくには「体力不足」の感が否めません。
決算書を公開している透明性は素晴らしいものの、ダーウィンアセットパートナーズ株式会社の信用力は低く、「投資してはいけない」という結論で良いかと思います。
ちなみにこのダーウィンアセットパートナーズ株式会社について、読者の方から以下のような質問をもらいました。
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不動産クラウドファンディングの「ダーウィンアセットパートナーズ株式会社」は大丈夫でしょうか?
ネットで見ていて、まあ普通の不動産クラウドファンディングの会社かと思っていたのですが、ユーザ登録してみたところ日本の不動産以外に海外の不動産投資セミナーの案内メールが送られて来ました。
なんか、かなり怪しい会社に思えてきたんですが、どうでしょうか?
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記者自身は上記の通り透明性も含め、「かなり怪しい会社」という印象はありませんが、しかし「かなり規模の小さい会社」であるのは間違いありません。参考になさってください。
なお、どうしても国内不動産に投資したい場合はJ−REITで十分ですね。こちらははるかに透明性が高く、キャピタルゲインもインカムゲインも狙え、少額から投資ができて、いつでも売却できます。
足元の配当利回りは平均で4.28%ですね!個別には5%を超えるものもあります。
10年後にダーウィンアセットパートナーズ社が存続しているか分かりませんが、J−REITは間違いなくありますからその点でも安心です。
最後に、あくまで一般論ですが、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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