当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは利回り5.8%を喧伝する、株式会社TSONの「SMART FUND SONAE(そなえ)」です。ちなみに以前取り上げた時はサイトで
・ファンド運用数No.1
・取り扱いファンド総額No.1
・平均利回りNo.1
と記されていましたが、注釈では「中部地方に本社がある不動産特定共同事業者調査」となっていて、さすがに誤解を生むと理解したのかそれはやめたようです。当然ですね。
>>>利回り5.5%のTSON FUNDINGは魅力的?
そんな上場企業にあるまじきコンプライアンス意識の低い同社ですが、最新のファンドである「環境スマートファンド SONAE40号」の中身をチェックするとこうなっています。
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環境スマートファンドSONAE40号(三重県四日市市楠町III(2期))
・想定利回り:年5.0%
・想定運用期間:2年
・募集単位:1口100万円
・募集金額:1億5300万円
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運用期間は2年とは言え、四日市市ですか・・・相応のリスクがありそうですね。詳細をチェックするとこのような説明もあります。
・想定表面利回り:6.33%
・想定分配率:5.0%
そもそも表面利回りが6.33%とかなり低いですが、そのうち5%を分配してしまうということで、経費分としては1.33%しか使えません。少しでも空室が出たらダメそうですが、その収入と費用の内訳はこのようになっています。
やはり空室については一切考慮されていなさそうです。そもそも空室は運用期間中だけでなく、運用開始時にも発生しますからね。竣工してすぐ満室になるわけではありません。
運営する同社にとってはなかなか実現が厳しい分配条件だと言えます。もし未達の場合は同社が補填するのですかねぇ。
その分、建設費用でガッツリ儲けていて、だからこその表面6.33%という低利回りなのかもしれませんが。
加えて、上記の通り四日市市の物件ということで、2年後にちゃんと出口を迎えられるかどうかというのも投資家にとってはリスクだと言えます。
しかしこのファンドの最大のリスクは運営主体である株式会社TSONの経営状態だと言えそうです。時系列で並べるとこうなってます。
・2023年8月:業績予想修正
・2023年8月:決算発表
・2023年8月:監査法人辞任
・2023年8月:代表取締役降格
・2023年9月:上場廃止申請
・2023年10月:決算修正発表
・2023年12月:上場廃止
つまりは故意かどうかは別にして粉飾決算が見つかり、一度業績を修正して決算を発表して、監査法人が辞任して、社長がクビになり、その後も粉飾が見つかり、決算修正が間に合わないので上場廃止の憂き目に会い、最終的にもう一度業績を修正したということですね!
もはやコンプライアンス意識云々ではなく「反社会的」とすら言っていいのかもしれません・・・。
また2度の修正の結果、決算はこのようになっています。
・1度目の修正
・2度目の修正
当初、最終利益が1億34百万円だったところ、10百万円となり、最後は−47百万円の赤字に転落したということですね!しかも一度発表したものを変更したわけですから悪質です。
こうした同社の経営体質もリスクですが、そもそも赤字であればフツーに倒産してしまいます。そして仮に同社の経営が傾けばこのファンドの分配金どころか元本の回収すら怪しくなります。
このファンドへの投資は全くオススメできません。
参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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