当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはvertexという不動産会社の広告です。実は4年前にも取り上げていたようで、その時の広告は
・サラリーマンの僕が1年5,000万円の資産を実現できました
というものでした。
ただ推奨しているのはあくまで「ローンを組んでのマンション投資」ですので、その裏には当然、同額の負債があります。つまりは「1年間で5,000万円の借金を実現できました!」とほぼ同義であり、何にも羨ましくありません。
問題はそれだけの投資をしながら、ちゃんと儲かるのか?という点ですね。
というわけでページを読み進めるとこういう記述が出てきたのでした。
そもそも最初から「1万円の持ち出し」ということですから、やはり何も羨ましくありませんね。わざわざ生活を苦しくしているようなものです。
また「ローン完済後は5,000万円の資産があなたの手元に」というのも「嘘」です。
なぜなら30年もすればマンションの価値は半値くらいに下がっていてもおかしくないからですね。
詳しく知りたい方は過去のコラムをご覧ください。
>>>1年間で5,000万円の資産!vertexは魅力的?
では4年経って同社の広告はどのように変化しているのでしょうか?サイトをチェックするとこのような試算が紹介されています。
不動産所得を見てみると、家賃が120万円に対し、諸経費が170万円で毎年マイナス50万円の赤字・・・資産運用なのに確実に損をするというのは一体どういうことなのでしょうか?相変わらずクソみたいな提案内容です。
投資家の実例も紹介されています。
2つのマンションを保有しているようですが、どちらも利回りは3.9%ということで低すぎて泣けてきます。
単純に計算しても減価償却と金利で家賃は吹っ飛びます。さらに修繕積立金・管理費・空室損・原状復帰費用・税金・保険料などの経費が掛かるので毎月のマイナスは結構大きいですね。
またキャッシュフローで計算しても、毎月のローン返済だけで10万円程度あるのでやっぱり家賃は吹っ飛んで、毎月の資金流出は2つのマンションで10万円くらいになりそうですね。
さらに入居者が退去してしまうと、その時の毎月のマイナスは30万円を超えるかもしれません。そうなってくると本業の収入が吹っ飛んでしまいますね。
そうしたリスクを考慮してマンションを購入されたことを願うばかりです・・・。
こうしたマンション投資は「ローンを完済すると家賃が丸々残る」と喧伝されるわけですが、問題はマンションは築40年もすると建て替えが必要になってきます。この方は40代なので、80代にさらに建て替え費用を用意できますか?という話ですね。
売れればいいですが、売れる保証はどこにもありません。また売れたとして、それまでに投資した自己資金を回収できるかどうかは不明です。
毎月赤字を垂れ流しながら将来不透明なマンション投資をするくらいなら、J−REITに投資した方がはるかにマシですね。こちらは足元では分配金の平均利回りが4.45%ですから投資した瞬間から分配金が入ってきます。
投資というのはそういうものではないですかね・・・。
ちなみにこのような強引なセールストークが功を奏してかこのvertex社の業績は好調のようです。
裏で投資家が泣いてないことを願うばかりです。融資を利用しての投資は慎重にも慎重な検討を重ねるようお勧めします。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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