当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは藤岡不動産株式会社の「ももたろうファンド」です。サイトを見ると以下のような利点がPRされています。
「安心」「安定」「手軽」とのことですが、実際にはどうなのでしょうね?具体的に商品の中身をチェックしてみると直近で販売されているファンドはこのような内容です。
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・所在地:清須市西市場二丁目7番1
・アクセス:JR東海道本線「清洲駅」徒歩約10分
・土地面積/184.55u
・建物 構造/木造スレート葺 2階建
・床面積/1階114.78u、2階111.53u、合計226.31u
・築年月/1991年2月
・指定建ぺい率/60%、指定容積率/200%
・備考 2024年8月末現在 満室稼働(12室/12室)
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こうしたファンドで地方の物件に投資するものはあまりないと思いますので、その点ではユニークと言えるかもしれません。
1部屋あたり20uを切る狭小アパートとなりますが、建蔽率も若干オーバーしているようですので違法建築ですね。築年数も30年を超えており、物件の価値はほぼ土地値かと思います。
土地の値段を調べてみると、uあたり12万円くらいのようです。とすると物件の価値はざっくり
・12万円×185u=2,220万円
となり、3,500万円の出資総額は割高と言えそうです。
ただ実際に近隣の物件をチェックしてみると、こちらはコンクリート造ではありますが、築42年で土地358uに対して6,790万円で売りに出されており、必ずしも土地値で売買される土地柄というわけではないのかもしれませんね。
そうしたわけで出資総額の妥当性は現時点では「?」ということにしておきます。
次に6.0%という利回りの妥当性ですが、こちらの物件は賃貸情報が出ていましてこのようになっています。
共益費込みで3万2千円ということですね。12部屋あるので満室の場合、年間の家賃は460万8千円。経費や空室などで3割くらいの費用を見込んだとしても年間322万6千円。
出資総額3,500万円からすると実質利回りは9.2%ということになり、6.0%の配当を払っても十分お釣りが出ますね。その点では利回りに不自然さはありません。
あとは1年後に3,500万円で売れるのか、という点ですね。表面利回りは13%となりますから、上記近隣物件の例を取ると一定の競争力はありそうですが・・・。
加えて同社のファンドの中身を見ると、実質的には償還せず、延長を繰り返すようです。
とすると実際に元本が返ってくるかどうかは将来の市況次第ということですね。もちろんその間に建物は劣化していくわけですから、リスクとしては大きくなっていきます。
出資者としては折を見て早め早めに解約することが重要ですね。
またそもそも、実質利回り9.2%が狙えるなら自分で物件を買って直接投資するという手もありそうです。戸建てなら手ごろなものがあるんじゃないですかね。
それはともかくとして次に、運営者である藤岡不動産株式会社について調べてみると、資本金は1億円とかなり手厚いものの決算などは見つかりませんでした。
この時点で記者がこのファンドに投資することはないですね。もし赤字にまみれた会社であれば運用も資金管理も回収もおぼつきません。投資を検討される場合は、こちらの会社の経営状況をご確認ください。
ちなみに足元のJ−REITの分配金利回りは4.72%で、個別に見れば6%を超えるものもあります。
ここ数年のJ−REITのパフォーマンスは不冴えではありますが・・・参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.まだまだ低金利で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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