当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは都市綜研インベストファンド株式会社が運用する「みんなで大家さん」ですね。商品名を広告などで見た人は少なくないかもしれません。
当サイトでもすでに常連となっておりまして過去のコラムを列挙してみるとこうなります。
>>>みんなで大家さんは行政処分からの返金停止でついに破綻へ
>>>みんなで大家さんはこれだけ危ないのに、倒産しない理由はなぜですか?
>>>工事ストップ中のみんなで大家さん「シリーズ成田」。賃料はどこから?
>>>資金ショート!?「みんなで大家さん」の今後の予想
>>>いよいよ資金ショートか?「みんなで大家さん」
>>>絶対投資してはいけない「みんなで大家さん」
>>>やっぱり投資してはいけない「みんなで大家さん」
>>>二束三文の「みんなで大家さん」がすぐに破綻しないのはなぜ?
>>>みんなで大家さんの「シリーズ成田」はやっぱりおかしい
>>>みんなで大家さんはシリーズ成田でついにフィナーレか
>>>みんなで大家さんはポンジスキーム?疑惑まとめと破綻しない理由
>>>利回り7%!みんなで大家さん「シリーズ成田5号」に投資してはダメ!
>>>みんなで大家さんの「詐欺被害」に関する注意喚起
>>>ありえない高額転売が続く!みんなで大家さんシリーズ成田2号
>>>ありえない高額転売!みんなで大家さんのシリーズ成田1号
>>>利回り7%!みんなで大家さんの疑惑はまだまだ続く。
>>>伊勢忍者キングダムはヤバイ。みんなで大家さんは疑惑だらけ。
>>>伊勢忍者キングダムは閉鎖中。みんなで大家さんは大丈夫?
>>>情報提供あり!みんなで大家さんファーム1号はやっぱり詐欺?
>>>決算書で露呈!やっぱり、みんなで大家さんは詐欺?
>>>利回り7%!みんなで大家さん40号は魅力的?危険です。
>>>利回り6%!みんなで大家さん38号は魅力的?危険です。
>>>みんなで大家さんの資本増強は自作自演?
>>>ついに見えた!みんなで大家さんの虚偽投資
>>>利回り7%!みんなで大家さん34・35号は荒唐無稽
>>>利回り7.0%!みんなで大家さん33号は魅力的?
>>>利回り7.0%!みんなで大家さん32号は魅力的?
>>>利回り7.0%!みんなで大家さんファーム3号は魅力的?
>>>関係者!?みんなで大家さんの記事に対する指摘を検証
>>>利回り7%!みんなで大家さんの決算はどうなった?
>>>みんなで大家さんファーム2号の記事に対する指摘を検証
>>>利回り7.0%!みんなで大家さんファーム2号は魅力的?
>>>利回り7.1%!みんなで大家さんファーム1号は魅力的?
>>>口コミで怪しいと言われる、みんなで大家さんの最新の評判
>>>利回り7.0%!みんなで大家さんの疑問点をまとめると
>>>利回り6.1%!みんなで大家さんはやはり疑惑だらけ
>>>利回り7%!みんなで大家さん伊勢は魅力的?
>>>元本割れナシ年利6%!みんなで大家さんは魅力的?
>>>6.1%の高金利な投資 みんなで大家さんは魅力的?
>>>みんなで大家さんの債務不履行=デフォルト率は70%?
>>>想定利回り7.0%!みんなで大家さん19号は魅力的?
>>>行政処分!「みんなで大家さん」のその後は?
ここまで証拠が出てくると記者の心証としてはもう、「みんなで大家さんは投資詐欺で間違いない」と思うわけですが、ついに行政処分が言い渡されました。前回コラムの通りですが、処分内容を抜粋すると以下の通りです。
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1.業務の一部停止
2.「みんなで大家さん成田16号」の対象不動産の変更に関し、契約変更又は解約の意思を明確に確認できていない事業参加者に対し、契約の変更に応ずる意思があるかを速やかにかつ明確に確認して報告すること。
3.「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクト」に関し、計画見直しが土地の資産性に大きく影響を及ぼし、当該土地の最終的な売却の可否又は売却価格に影響が生じるリスクがあること、計画見直し後の対象不動産の資産価値(例えば鑑定評価額など)、将来的な収益性や実現可能性への影響について、十分に理解できるよう説明すること。
4.開発中の造成工事の状況等、造成工事の完了時期・建物計画を含んだ構想が実現するのか等の具体的見通しについて説明すること。
5.今回の処分理由及びこれに対する処分内容等について説明すること。
6.成田商品の解約の申出があった場合には誠実かつ適切に行うなど、事業参加者の保護には万全を期すこと。
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裁判所からの決定文には
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申立人は成田商品について新たに募集・販売する予定はない
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/06/17/documents/08_01.pdf
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という記載もあります。もしこれが本当なら、毎年少なくとも利払いだけでも約1,900億円×7%=133億円の資金が必要です。そもそも成田では施設ができていないので賃料が入りようがありませんから、新規資金が入らなければ破綻は間違いないですね。
ではあとどれくらいで破綻するのでしょうか?まず2024年3月期決算を見ると都市綜研インベストファンドの現預金は102億円となっています。
https://www.invest-fund.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/08/tsif_ir_2024.pdf
単純に計算すれば102÷133≒9ヶ月ですね。今年の6月に行政処分ですのでそこから計算すれば来年3月には破綻です。
また、希望者には元本も返済しないといけません。現状の返済ルールはこういうことのようです。
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ひと月あたりの譲渡金額予算・・・最低5億円以上
https://www.minnadeooyasan.com/news/20240726/
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つまり毎月必要な金額は133億円ではなく138億円以上ということです。
他方で延命できるシナリオがあるとすれば以下のような展開が考えられます。
1.保有資産の処分が進んだ場合
上記、都市綜研インベストファンドの2024年3月期決算2,900億円の固定資産があるわけですから、それが無事に簿価で売却できれば1,900億円の出資金など余裕で返済できます。とは言え、二束三文の物件ばかりですからね・・・超テキトーに時価を算出してみるとこんな感じになります。
・アグレボバイオテクノロジーセンター:5億円
・シリーズ伊勢:5億円
・シリーズ成田:3億円
・キングアンバサダーホテル熊谷:3億円
・名古屋再生医療 幹細胞免疫センタービル:3億円
・青果熟成加工物流センター:5,000万円
・B-WAVEビル:5,000万円
・純国産バナナ・青果生産加工流通施設:5,000万円
・奄美青果熟成加工物流センター:3,000万円
あくまでテキトーな試算ではありますし、どれも赤字だとすれば収益還元の価値はゼロということになりますが、この数字を足し上げれば約21億円ということになります。買い手が見つかればですが。
仮にこれが2倍の42億円で売れても焼石に水ですね。来年の6月ごろには破綻となります。
しかし42億円の資産をもとに1,900億円もの資金を集めたということであれば改めてひどいポンジスキームですね・・・。
2.グループ会社の資産も使って返済する場合
ただよく考えてみれば数十億円の元銭で1,900億円の資金を集めたということは、差し引き1,800億円近いお金=利益がグループ会社のどこかに蓄えられているはずです。今まで支払った利息は800億円もいかないでしょうから、1,000億円近くのお金が残っていても不思議ではありません。
とすると毎月の中途解約を5億円に抑えている限り、あと7年近く存命する可能性はゼロではないですね。
とは言いつつもしこのままこの、みんなで大家さんが破綻するのであれば、経営サイドからすればこの支払いは全くもって無駄金です。みんなで大家さんのスキームが存続不能と判断したなら、「1,000億円を持ってトンズラ」が合理的な判断と言えます。そうならないように監督官庁には頑張ってほしいものですが・・・。
都市綜研インベストファンドの親会社である共生バンクの決算書を見ても資産は150億円しかなく、巨額の利益はグループ外のどこかに飛ばされてしまっているようです。
https://assets.kyosei-bank.co.jp/pdf/Kyosei-Bank-Co_Ltd-2023FY_Accounts.pdf
3.新たなポンジ商品を販売できた場合
延命できるとすればもうこれしかないのかもしれません。新たな商品を販売することです。
とは言いつつ、すでに監督官庁からレッドカードが出ているわけですし、日本の投資家も馬鹿ではないなら新たに買う人はいないはずです。
加えてこれまでも指摘しているように、シリーズ成田は土地なだけに建物を建てないといけません。建物を建てない限り失敗は明らかですから、新規募集はなおさら難しいでしょうね。
朝日新聞もその点を指摘しています。
「1580億円の開発に4年の遅れ 投資商品みんなで大家さん」
また万が一、新商品を販売できたとしても、今まで以上に販売しないと資金が枯渇してしまうのがポンジスキームの苦しいところです。つまりは、どのような経路をたどるにせよ、結局は破綻するということですね。
行政には二度と「みんなで大家さん事件」が起こらないよう、しっかり反省していただきたいと思います。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.低金利で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
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