当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはTECRA株式会社が提供するTECROWD=テクラウドですね。サイトを見ると
・累計調達額454億円
・配当遅延、元本割れ0件
・平均実績利回り10.3%
と華々しい実績が謳われています。ローリスク・ハイリターンの投資であれば魅力的ですが、リスクとリターンは比例していますので、もちろんそんなものはありません。高利回りの裏でどういったリスクがあるのかチェックしていきたいと思います。
なおTECROWDについては過去にも取り上げていますので興味がある方はご覧ください。
>>>利回り8.5%!TECROWD=テクラウドの障碍者グループホームファンドは魅力的?
>>>利回り8%!TECROWD=テクラウドの障碍者向けグループホームファンドは魅力的?
>>>利回り8%!TECROWD=テクラウドは魅力的?
ちなみに前々回のコラムでは
・土地建物の価値が本当は二束三文なので、投資家に高く売りつければ、年10%払っても大きくおつりが出る。
前回のコラムでは
・土地建物を投資家に2倍近い高値で売りつけているので、年8.5%払っても大きくおつりが出る。
という推論に至りました。
とは言いつつ「売りつけ」は1回限り、利払いは毎年なわけですから、仮にこの推論が正しければ、永遠に「売りつけ」を続けないと行けませんし、売りつければつけるほど高利の利払いも増えていくのがツライところです。
つまりは「いつか必ず破綻する」ことになりますが、実態はどうなのでしょうね?
さてそんなTECROWDですが、同社の信用を大きく毀損する記事が出ています。引用するとこうです。
−−−
「テクラウド」では2022年から2023年にかけて、カザフスタンでの住宅建設などを目的に複数のプロジェクトを立ち上げ、日本の投資家から総額約80億円を募集。このうち、最も大きいプロジェクトでは募集総額が38億円超にのぼる。
いずれも順調にプロジェクトが進んで売却が完了したとして、投資家へ想定通りの配当と元本の償還を今年2月までに終了していた。
ところが、今年3月、カザフスタン内の複数の現場に足を運んだという人物(A氏)から「完成しているはずの建物が建っていない」との情報が楽待新聞編集部に寄せられた。
現地で撮影された映像などを確認したところ、計画予定とされていた建物の存在を確認できなかった。
https://www.rakumachi.jp/news/column/370907
−−−
「建築工事がすべて完了した」と言っているのに建ってないわけですから、詐欺と言われても仕方ありません。しかも更地のまま売却して、建物代も回収できたなんてことがあるはずありませんね。
加えてこういう記事も出ています。
−−−
テクラウド公式サイトによると、カザフスタンの投資案件は計14件(2025年5月末現在)。早いもので2022年に運用を開始し、遅いもので2024年中に運用終了予定とされており、2024年末までにそのほとんどは償還が完了している。
カザフスタンを対象とするファンドのうち、6件の対象となっているのが、高級住宅街における戸建て住宅の開発プロジェクト「KHAN VILLA」。
カザフスタンの旧首都アルマティ市郊外の約2万平米の敷地に、3期に分けて計70棟の邸宅を建設するというものだ。
土地造成を目的とする「phase1」と住宅建設を対象とする「phase2」に分けて計6つのファンドが組成され、募集総額は38億円超にのぼる。
想定利回りは10〜11%で、運用期間は6〜14カ月。ファンドで集めた資金を元手に用地(借地権)を取得し、土地の造成工事や建物の建設を行った後、現地のグループ会社に想定売却価格約43億円で売却して、配当・元本償還を行うというスキームだ。
最後に募集が行われたファンドの運用開始は2023年10月で、2024年11月に運用が終了、同年12月に償還予定となっており、実際に償還済みとなっている。
この通りなら、計画された70棟の戸建てはすでに完成しており、売却まで完了していることになる。ファンドに出資した投資家たちも、そう受け止めるだろう。
知人を介してある投資家から調査依頼を受けたというA氏。プロジェクトの実態を確認するため、ホームページに記載されたプロジェクト用地の情報などを頼りに、今年3月下旬、カザフスタンに足を運んだという。
「実際に行ってみたら土地は確かにありましたが、建物を建てたり、造成をしたりしている様子がありませんでした。KHAN VILLAの用地内は外部から侵入できないように高いフェンスで囲われていましたが、敷地の外から覗くと、それらしき建物が1軒だけ建っていたんです」(A氏)
A氏によると、現地の登記情報にあたるデータを確認したところ、広大な土地に70戸の戸建てを建てるための分筆すら行われた形跡がなかった。
https://www.rakumachi.jp/news/column/370721
−−−
TECROWDのカザフスタン案件は以下のようにまとめられていますが、何とそのほとんどで建物が建っていないことが分かります!
いやもうこれは詐欺と言い切ってしまっていいのではないですかね?これまでのコラムでもご案内したように、二束三文の土地を高値で投資家に売りつけて、実際には建物を建てずに資金を温存し、それを配当に回しているのだとすれば完全にポンジスキームです。
「みんなで大家さん」の成田プロジェクトと全く同じことになります。
いずれにしても「みんなのクレジット」しかり「maneo」しかり「スカイプレミアム」しかり「エクシア」しかり、死ぬときは一瞬なので直前で逃げることはできません。
そもそも、安定的に10%のリターンが得られるのであれば、絶対にファンドなんか作らず、銀行融資を利用するはずです。銀行なら担保があれば1%前後でいくらでも融資してくれますからね。
「1%でお金を借りられるはずなのに、10%でお金を借りようとするのには絶対何か裏がある」
と考えるのが大人のたしなみです。投資は必ず「性悪説」で考えないといけません。
十分お気をつけください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.低金利で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
![]() |
定期預金に関するあなたのクチコミを教えてください。クチコミは人気銀行を中心に順次掲載いたします。 メールの場合はこちらから |
![]() |