1.預金保険って何?
そもそも預金保険制度とは何でしょうか?預金保険機構のサイトから引用するとこういうことになります。
預金保険制度とは、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払い、万が一、金融機関が破たんした場合に、一定額の預金等を保護するための保険制度です。
銀行がつぶれたときに預金を保護してくれるのが預金保険制度、ということですね。
2.預金が全部保護されるの?
残念ながらそうではありません。全額保護される預金はあるにありますが、これは
決済性預金だけ、ということになっています。決済性預金とは聞きなれない言葉ですが、主に当座預金のような「利息のつかない預金」と定義されています。
誰も好き好んで「利息のつかない預金」を利用したりしませんよね。というわけでこれは忘れて、基本的には
・元本1,000万円とその利息まで
保護されることになっています。1,000万円まで保護されることは有名ですが、その利息まで保護されることは案外、知られていません。となるとやはり、
少しでもいい金利の預金を利用することが大切ですね。
なお銀行の破たん処理として、この元本1,000万円までとその利息を保護し支払う=逆に言えば1,000万円超の預金を保護しないことを
ペイオフといいます。
3.全く保護されない預金は何?
預金は預金でも
外貨預金は保護されません。外貨預金を利用する場合は、その金融機関の健全性をしっかり確かめる必要がありますね。また投資信託や株式のような、そもそも預金でない金融商品は保護されません。
4.保護されない金融機関は何?
基本的には日本の金融機関は、銀行から信用金庫、信用組合まで、ほぼ完全にカバーされていますが、カバーされていない金融機関は何かと言うと
・海外支店 ・政府系金融機関 ・外国銀行の在日支店
は預金保険制度の対象外です。実際に考えないといけないのは「外国銀行の在日支店」ですかね。たとえばシティバンク銀行は在日支店ではなく日本法人ですからその預金は預金保険の対象ですね。
横文字な銀行を利用する場合は、在日支店なのかそうではないのか確認したほうがいいかもしれません。
5.実際にペイオフは行われるの?
これはなかなか難しい質問です。2010年に日本振興銀行が初めてペイオフで破綻処理されることとなりましたが、これはかなり特異なケースと考えていいと思います。日本振興銀行の場合は、資産規模が小さかったですし、預金も定期預金が中心で、ペイオフを選択したからといって金融システムにほとんど影響がないことが予想されていました。また、1,000万円以上の定期預金を預けていた人も400人弱とかなり少なかったこともペイオフを後押ししたものと思います。通常の銀行であればこうはいきませんね。
銀行が破綻したからといって、
必ずペイオフが実施されるわけではありませんし、金融行政も破綻する前に合併させてしまうなどの「予防」に重点が置かれています。
また場合によっては、体力のない銀行に事前に資本を注入することも可能です。銀行はお金さえ回っていればつぶれませんから、これはなかなか心づよい支援策です。
となると社会的な混乱を呼び起こすことが必至なペイオフは、日本振興銀行のような例外があるとは言え、基本的にはなかなか起こりにくいことになります。はい、筆者も「
ペイオフはかなり起こりにくい」と思います。
加えてリーマンショックを経験し、世界は金融機関がつぶれることで引き起こされる信用収縮の怖さをまざまざと実感しましたので、特に資金量が大きな金融機関については「
まずつぶれない」と考えていいと思います。
しかし。
「ペイオフはかなり起こりにくい」と「ペイオフは起こらない」とでは意味が違いますし、「まずつぶれない」と「つぶれない」とでも意味が違います。そして
何が起こるか分からないのがいい意味でも悪い意味でも経済というものですよね。
かつペイオフ制度が整備されたのが2002年ですから、それからかなりの月日が経ちます。預金者として
「知りませんでした」とはだんだん言いづらい状況になっていますね。
そんなわけでペイオフは、特に大規模の銀行に関してはまず起こらないであろうと思いつつ、やはり大人のたしなみとしては
1,000万円を超える預金に関しては、その金融機関の経営状態に注意を払い、少しでも懸念を感じるのであれば
預金先を分散すべきなのではないでしょうか。