1.これまでの金利動向
まずは、これまでの実際の金利動向をチェックしてみましょう。一般に「長期金利」と呼ばれる「10年もの国債」の、2000年からの金利の推移です。
■長期金利推移グラフ(2000年〜)
見事なまでに1.0%前後をウロウロしていることがよくわかります。この20年で長期金利は一度も2%を超えていないんですね!
景気回復に伴う金利上昇を期待したいところですが、大規模な金融緩和が実施されている現状では、短期的な乱高下があったとしても、金利が本格的に上昇するのは当面先になってくるのではないかと思います。実際、長期金利は0%前後の低金利です。
短期の定期預金を継続しながら金利上昇を待つだけでなく、
1年ものや5年もの、あるいはそれより長い期間の定期預金を利用し、確実に相対的に高い金利を確保していくのも手ではないでしょうか?
3.足元の金利動向と見通し/2023年12月更新
ここで足元の金利をチェックしてみたいと思います。定期預金の金利と関係の深い、
「3年もの」市場金利と、
「5年もの」市場金利は以下のような推移になっています。
◆3年もの市場金利の推移
◆5年もの市場金利の推移
これまで3年もの市場金利も5年もの市場金利も仲良く低下してきました。ではなぜこのように金利が低迷しているかと言うと、2013年から日銀の「
異次元」と呼ばれる
金融緩和が実施されているからです。
金融緩和が実施されれば、金融市場に多額のマネーが投下され経済活動が底支えされる一方で、中央銀行=日銀によって国債が買い進められるため、国債の価格上昇=
金利低下となっていきます。まさにそうした教科書どおりの効果が発揮され、
異次元の低金利が実現している、ということになります。
さらに2016年1月には衝撃の「
マイナス金利」が発表され、あくまで銀行向けの当座預金に対する措置ではあるものの、これをきっかけに市場金利はまたまた大きく低下しました。
2016年後半から金利は回復したものの、2017年以降は日銀の
イールドカーブコントロールもあってその金利上昇も「
頭打ち」となりました。
他方で期待できるのは2023年7月に日銀が、長期金利の上限を
1.0%にまで引き上げたことです。「実質的な利上げ」ということでいいと思いますが、足元の長期金利はこのような動きになっています。
足元ではやや調整しているものの、全体的にみれば上昇していますね。本日の長期金利は「
0.695%」となっています。定期預金の金利に波及してくることを祈りたいと思います。
ちなみに毎回ご案内しているように、多くの金融機関は市場からこの金利水準で資金を調達できるということですから、預金集めや事務手続きに手間隙かかる
個人の預金金利がこの市場の金利水準を超えることは基本的にはありません。
上記グラフの金利水準、つまり3年もので
0.09%前後、5年もので
0.27%前後という水準が、定期預金金利が
高金利かどうかの判断の基準となってきます。
参考にしてみてください。
ちなみにインフレ率が
2%を安定的に上回るようになれば、いよいよ長らく続いた
金融緩和政策が終了し、抑えられていた金利が正常な状態、つまり
本来あるべき金利水準まで戻っていく=金利上昇していくことになります。
果たして今のインフレ傾向が定着するでしょうか?
記者自身は
少子高齢化という構造的な問題を抱える日本では、コロナ禍による供給制約がひと段落すれば再び物価は下がり、安定的なインフレ実現は
困難なのではないかと思ったりもしますがどうなのでしょう?物価の動き、そして日銀の金融政策に注目ですね。
もちろんインフレとなれば、その分、
預金が目減りしていくことになりますので預金者からすれば「
痛し痒し」の面がある点は付け加えさせていただきます。
4.今月の定期預金金利/2023年12月更新
主要な銀行の定期預金金利(300万円以上の場合)は、今月は以下のとおりです。参考になさってください。
・普通預金(含む1週間〜1ヶ月定期): 0.00%〜0.25%
・3ヶ月もの定期預金: 0.00%〜1.00%
・1年もの定期預金: 0.00%〜0.35%
・3年もの定期預金: 0.00%〜0.40%
・5年もの定期預金: 0.00%〜0.55%
・10年もの仕組み預金: 0.60%→0.70%
いずれも市場金利を大きく上回る高金利ですが、3ヶ月1.00%、最大0.70%の仕組み預金を提供している新生銀行や、1年0.20%、2年0.20%のUI銀行、1年0.35%、3年0.30%の東京スター銀行、3年0.35%、7年0.45%のオリックス銀行が魅力的そうですね。
今月の定期預金金利の詳細は、こちらの定期預金金利比較からご確認ください。
>>>定期預金金利比較ランキング(TOPページ)