質問 : 定期預金の金利が低くていつもがっかりですが、ニュージーランドドルの定期預金の金利が高くて驚きました。住信SBIネット銀行だと1年で2.5%の金利となっています。これはお得なのでしょうか?それとも大きなリスクがあるのでしょうか?
<20代/女性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に同様のお悩み相談があれば月1回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方は
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さて質問内容に戻りまして、ニュージーランドドル、つまり外貨預金での運用がお得かどうか、ということですね。
日本の定期預金が0.0X%といった水準に沈む中で、確かに2.5%といった金利水準があれば十分お得に思えます。では実際にお得なのでしょうか?
外貨預金が得かどうかを考える上でポイントとなるのは以下2点ですね。
1.手数料はいくらくらいかかるのか?
2.為替レートの動きはどうか?
昔は円→外貨、外貨→円に交換するのに、1%程度の手数料がかかっていました。とすると往復で2%くらいの手数料がかかるわけで、仮に2.5%の金利でも税金などを考慮すれば運用期間1年程度だとほぼ「利益ゼロ」ということになります。
言い換えれば長期運用をするか、為替相場が大きく円安に振れることを期待するしかなかった、ということですね。
ただ今はネット銀行を中心にこうした外貨との交換手数料=為替手数料は大きく引き下げられていますので、そこまで心配する必要はなくなっています。質問者の方がおっしゃっている住信SBIネット銀行の場合は、ニュージーランドドルで片道約0.4%、往復で約0.8%となっています。とすると1年間の運用で十分プラスになる可能性があるということですね。
もちろん、そのような高金利の通貨というのは限られており、先進国で1%を超えるような通貨というのはほとんどありませんので、その点では引き続き為替手数料は大きな障害と言えるのかもしれませんが。
それはともかくとして、為替手数料の問題がクリアされれば次は2つ目の為替レートの動向が鍵となってきます。ではニュージーランドドルの為替レートの推移はどうなっているかと言うとこういうことですね。
1年前と比較すると、1ニュージーランドドル=88円から76円へ、ピーク時と比較すれば1ニュージーランドドル=94円から76円へ、それぞれ−14%・−19%といった形でニュージーランドドルが安くなっていることが分かります。
ニュージーランドドルが安くなるということはニュージーランドドル定期預金も元本が目減りしていることを意味するわけですから、仮に1年前にニュージーランドドル定期預金を始めた方は14%も元本が目減りしたことになります。もちろん2.5%といった金利では全く賄えません。
次に期間10年で見るとこうですね。
本来、日本円のように金利が低い通貨と、ニュージーランドドルのように金利が高い通貨では後者でインフレが進むために「円高ニュージーランドドル安」となるはずですが、実際の経済は教科書通りには進まないもので、1ニュージーランドドル=45円から95円の間を大きく変動しています。
特にリーマンショック後の急落や、2013年のアベノミクス以降の上昇、そして足元の急落が目を惹くわけですがいずれにしても全体的には為替相場は大きく変動しており、こうした中で2.5%の金利など全く無意味と言えるかもしれません。
実際、45円のタイミングで投資すれば今でも+67%のリターンを確保しているわけですし、逆に95円のタイミングで投資していれば−21%の損失となっています。
つまり・・・ニュージーランドドルの定期預金が得かどうかはタイミング次第、ということですね。
ある意味、今のようにニュージーランドドルが低下している状況というのは悪いタイミングではないのでしょうけれど、一方で下がっている時に投資するというのはなかなか勇気が必要です。
そのように考えると、FXと比べてリスクの低そうな外貨預金ですが、それでも実は敷居はそれほど低くなく、一定の知識と経験が必要ということでしょうか。
そうしたわけでこれから外貨に投資しようと考えておられる方はぜひ少額から始めてみて、その「知識と経験」を蓄積していっていただければと思います。
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