質問 : 御社でも取り上げております、タケシさんのサイト(1000万)に似た限りなく詐欺であるファンドを発見しました。「JD INVESTMENT」という私募ファンドです。現状としては、代表社員の開示すら行っておらず、お粗末(尻尾を出さないため?)と言わざるを得ませんが、ステルスマーケティングを利用しています。
・ステルスマーケティングであると思われるサイト「50歳からの資産運用 http://shisan-unyou.jp/ 主:自称投資銀行出身者」
信憑性はありませんが、ネットの情報によると、BMキャピタルと関係があるらしいです。もし、可能でしたら御社のサイトで取り上げていただけたら有難いです。
<男性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に同様のお悩み相談があれば月1回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。
さて質問内容に戻りまして、「限りなく詐欺であるファンドを発見しました。JD INVESTMENTという私募ファンドです。」とのことです。現時点では記者はこの「JD INVESTMENT」について何も知りませんので、「限りなく詐欺」なのかそうでないのか全く分かりません。
では早速、この「JD INVESTMENT」で検索すると運用主体は「ジェイディーインベストメント合同会社」とのことです。とすると、手っ取り早いのが金融庁が発表している「適格機関投資家等特例業者」リストに名前が掲載されているか調べれば良いですね。本当に私募ファンドを募集・販売しているのであれば、少なくともこの届出をしていないと「違法」ということになります。
で、調べてみると残念ながらリストには「ジェイディー」も「JD」も載っておりませんので、違法業者の可能性があります。
ただ「合同会社」の形をとっておりますので、厳密には私募ファンドではなく、「合同会社の社員権の販売」ということで出資を募っているのかもしれません。その場合はただちに「違法」とは言えませんが、しかし本来「登録」や「届け出」が必要なところ、「社員権の販売」という「抜け道」を使っているのであればやはり「脱法行為」と言えるわけで、その点では「信頼できない」と考えてよさそうです。
ということで既に投資の是非については結論が出てしまったわけですが、せっかくなのでもう少し深堀してみたいと思います。まずはこの「ジェイディーインベストメント合同会社」のサイトをチェックしてみると、ざっくり以下のような内容にまとめられます。
・ヘッジファンドはすばらしい!
・バリュー投資を基本戦略とします。
・外資系金融機関出身者や東大・京大卒がメンバーです。代表をはじめ素性が明らか。
・安心の直接契約
まず引っかかるのが「ヘッジファンド」と言いながら「バリュー投資を基本」と言ってしまっている点ですね。「ヘッジファンド」とは本来はオプションやデリバティブ、信用取引を組み合わせて「株価が上がっても下がっても利益を出す」というのが基本かと思いますが、「バリュー投資」とは「安く買って高く売る」という、株価に完全に左右される戦略であって、「ヘッジファンド」に一番遠い概念です。
この「ヘッジファンドを標ぼうするのにバリュー投資」という残念な勘違いで思い出されるのがBMキャピタルですね。ということで久しぶりに同社のサイトをチェックするとこのようなことが書かれています。
・外資系投資銀行の手法によるヘッジファンド
・バリュー投資 : 価値に対し十分に割安な株式にのみ投資する
・スタッフは東大・京大などを卒業し、元外資系投資銀行家の金融エリート
・安心の直接契約
偶然の一致でしょうか・・・。なお質問者の方によれば「ネットの情報によると、BMキャピタルと関係があるらしい」 とのことですが、少なくとも書いている内容は酷似しています。
ちなみにこのBMキャピタルも「適格機関投資家等特例業者」リストに名前が掲載されていません・・・。
それはさておき、「JD INVESTMENT=ジェイディーインベストメント合同会社」に話を戻すと、この会社のまだマシなところはサイト上で運用成績などを公表していない点ですね。
明らかに不自然な好成績が喧伝されていれば質問者の方の言うように「限りなく詐欺」の可能性が高まりますが、現時点では「詐欺」かどうかというのは分かりません。言えるのはあくまで「信用できない」ということです。
というわけで「JD INVESTMENT=ジェイディーインベストメント合同会社」のサイトのチェックはそれくらいにして、次に教えていただいた「50歳からの資産運用 http://shisan-unyou.jp/」をチェックしてみたいと思います。まず目につくのはファンドランキングですがこのようになっています。
いきなりこの無名のファンドが1位ということですから、「ステルスマーケティング=自作自演サイト」と疑われても仕方ありません。ちなみにこの「JD INVESTMENT & 50歳からの資産運用サイト」の関係もまた、「BMキャピタル & 1,000万円資産運用サイト」の関係と極めて似通っていますね。「1,000万円資産運用サイト」の現状のランキングはこのようになっています。
なおどちらも「おすすめファンドランキング」ですが、「JD INVESTMENT」も「BMキャピタル」も本当に「ファンド」を販売・募集しているなら「違法」となるのは申し上げた通りです。
話を「50歳からの資産運用サイト」に戻して、ランキングだけでなく、なぜかこの「JD INVESTMENT」だけ独占取材が掲載されるなど、これまた「ステルスマーケティング=自作自演サイト」と疑われても仕方ない内容ですが、最も引っかかったのはこの運用成績です。
内容的に「ヘッジファンドB」を推しているのは明らかですね。
また、ファンドランキングを紹介する際に「私自身が出資しているファンドもありますのでぜひ参考にしてみてください。」とのことですので、ヘッジファンドBは同サイトのファンドランキング内にあることになります。というわけでファンドランキングを抜き出すとこうなります。
1位:ジェイディーインベストメント合同会社
2位:ひふみ投信
3位:ヘッジファンド証券株式会社
4位:スパークスアセットマネジメント
5位:ユニオン投信
6位:セゾン投信
7位:ベイビュー
8位:さわかみ投信
9位:鎌倉投信
10位:ありがとう投信
11位:コモンズ投信
この中でヘッジファンドと明記されているのは1位の「ジェイディーインベストメント合同会社」と3位の「ヘッジファンド証券株式会社」の2つだけであり、3位の「ヘッジファンド証券株式会社」については「直近の運用成績は良く無い。」とネガティブに紹介されていることから、やはりヘッジファンドB=「ジェイディーインベストメント合同会社」の可能性が高まりますね。
そもそも1位だからこそ自分も投資しているわけでしょうし、これまでの「ステマ疑惑」を踏まえればなおさら確信します。
しかし!
実はこのヘッジファンドBは残念ながら「ジェイディーインベストメント合同会社」にはなりえません。と言うのも、ジェイディーインベストメント合同会社が設立されたのは2016年12月だからです。グラフを見る限りヘッジファンドBに投資したのは2013年ですね。
とするとヘッジファンドBは消去法的に「ヘッジファンド証券株式会社」になってしまいますが、そのヘッジファンドの過去3年の成績はこのようになっています。
・2015年:−1.85%
・2016年:−2.90%
・2017年:−0.17%
つまり・・・3年連続マイナスリターンということですね!のんびり投資している場合ではありません。
ではこの「50歳からの資産運用サイト」の中で、ヘッジファンドBの成績についてどのように紹介されているかと言うと、2017年4月〜6月はこのようになっています。
・ヘッジファンドB:前期差異+3.00%
この時点で矛盾を感じますが、念のためヘッジファンド証券株式会社の4月〜6月のリターンはこのようになっています。
・4月:−0.74%
・5月:+0.89%
・6月:+0.15%
辛うじて通算ではプラスかと思いますが、やはりどうひっくり返っても+3%にはなりません。
というわけで上記ランキング内にあるはずの「ヘッジファンドB」は見つからず、これはつまり筆者の方が嘘をついているか、勘違いしているか、書き間違いをしているかのどれか、ということになります。
いずれにしてもこちらのサイトもまた信憑性はかなり低いということです。
ぜひ参考になさってください。
それでも「JD INVESTMENT」に投資したいという方は、せめて上記の通り「適格機関投資家等特例業者」リストに名前が載ってからにしていただければと思います。きちんと届け出ができるのであれば、ですが。
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