質問 :57歳で、家族は配偶者と子供(24歳)一人です。相続1億円がありました。資産運用はどの様にしたらよいでしょうか。
只今、賃貸ですので、家を購入するか迷っています。又、ヘッジファンドにも興味があるのですが。。。
<50代女性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に同様のお悩み相談があれば月1回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。
さて質問内容に戻りまして、「相続で1億円を受け取ったのでどのように運用すれば良いですか?」ということですね。相続があったということは身内の方が亡くなったということですから、まずはお悔やみ申し上げたいと思います。ご愁傷さまです・・・。
では回答していきたいと思いますが、1億円はおそらくキャッシュということなのでしょうね。不動産などを処分した後なのかもしれませんが、なかなかの金額と言えます。おそらく相続税を払って手元に残ったのがこの額ということでしょうから、それなりの資産をお持ちの方が亡くなられたということですね。
庶民からすれば相続=争続、骨肉の争いのイメージがありますが、とにかく手続きが終わり、運用を考えられる段階に来たことは、表現は不謹慎かもしれませんが素晴らしいと思います。お疲れ様でした。
ただこれまた表現が不適切そうですが、1億円という金額自体は残念ながら「中途半端」と言えます。遊んで暮らせるほど多額ではない一方、散財してしまっても構わないほど少額でもありません。
特に強調したいのは前者の「1億円というのは決して多額ではない」という点ですね。生活レベルを少し上げただけで年間の生活費が1,000万円近くになることは容易にありえそうですが、それだと10年で使い切ってしまうことになります。
また、気が大きくなって仕事をやめてしまっても、やはりあっと言う間に食いつぶしてしまう金額です。
そうしたわけで、その使い道については大事に大事に、「なるべく減らさないようにする」というのを大前提にご検討いただければと思います。
その点ではずっと定期預金や国債でもいいくらいですが、仮により積極的に資産運用するとすれば、「安全性を最重視」していただければと思います。具体的にはこういった感じです。
・大手金融機関で購入できる外国株インデックスファンド
・大手金融機関で購入できる外国債券インデックスファンド
・大手金融機関で購入できる日本株インデックスファンド
これらであれば少なくとも「騙されてお金を失ってしまう可能性」は限りなくゼロです。
ただ一方で今(2017年11月)のタイミングで投資すべきかと言われれば微妙ですね・・・。何でもそうですが、投資も「安く買って高く売る」のが基本ですが、我々一般市民はついつい「高く買って安く売って」しまいがちです。
実際、過去5年の日米の株価グラフをチェックするとこうなっています。
<日経平均>
<アメリカ株価(S&P500)>
このタイミングで投資を勧める人がいれば「鬼」ですね・・・。高値掴みとなる可能性はかなり高そうです。リーマンショックの経験に習えばここから「半値まで下がる可能性」は十分あります。
それでもとにかく投資を始めたいということであれば、はじめは100万円〜300万円程度にしておき、2年後か、5年後か、10年後かは分かりませんが、次の「金融危機」をしっかり体感した上で、さらに投資金額を増やすべきかどうか検討していただければと思います。
人生はまだまだ長いですし、時間だけはタップリあるわけですから、しっかり経験値を上げて投資に臨んでも遅くはないですね。
他方、質問で触れられている「ヘッジファンド」には断固反対です。その理由は2つあります。
1つ目は大手金融機関で購入できるヘッジファンドがほとんど全くない点です。それには色々な理由があるのでしょうけれど、少なくとも運用体制がしっかりしていて、安定した運用成績を維持しているヘッジファンドがあるなら、すでに大手金融機関から販売されているはずで、そうなっていないところを見ると、ほとんどのヘッジファンドが運用体制がしっかりしていないか、運用成績が不安定か、あるいはその両方か、ということではないかと思います。
一部のインチキヘッジファンド販売会社が喧伝しているように「日本のファンド業界が遅れているから」ということでも、「銀行は利回りのよいファンドの存在を知られたくないから」ということでもありません。
実際、記者の覚えている範囲だけでも、ネット銀行やネット証券からこれまでも何度かヘッジファンドが販売されましたが、成績がパッとせず残高が伸び悩み、数年後には撤退というサイクルを繰り返してきました。その点では根拠の薄い「ヘッジファンドに対する憧れ」は捨ててしまって良いと思います。
ちなみに今年=2017年は特にヘッジファンドが不振を極めた「冬の1年」で、多くのヘッジファンドが清算されています。具体的にヘッジファンドの運用指数であるHFRIは今年こういった成績になっています。
米ドルベースですが、2017年の成績は今のところ年利3.33%〜5.94%のパフォーマンスということですね。「立派な運用成績じゃないか」と思われるかもしれませんが、上記アメリカの株価指数=S&P500をチェックすると今年はこのように上昇しています。
・2,239 → 2,579
つまりすでに+15%も上昇しているわけですね。これを年利に直せば「+18%」くらいになりそうです。要するにインデックスファンドに投資しておけばヘッジファンドの3倍〜5倍のリターンが得られたわけで、さらにヘッジファンドは運用コストも高いですから、人気が低迷するのも当然です。これがヘッジファンドに断固反対する2つ目の理由です。
確かヘッジファンド全体で見れば今年は資金が「流出」しているはずです。やはり「ヘッジファンド信仰」は幻想ですね。
なお、インチキヘッジファンド販売会社ならそれでも「それはヘッジファンド全体の話であって個別には良い成績のものもある」と食い下がってくるかもしれません。それはもちろん事実でしょうけれど、問題は投資する時点で「将来、成績が良さそうなヘッジファンドを選ぶのは不可能」ということです。
もし事前に成績の良いファンドが分かるのであれば、そのヘッジファンド販売会社自身が借入でもなんでもして多額の投資を行い、今や大金持ちになっているはずですね。個人投資家相手にちまちまとヘッジファンドを販売してささやかな手数料を集める必要など全くないはずです。
結局のところ成績が良かった悪かったというのは結果論であって、投資する時にどのファンドが良い成績を上げるのか分からない以上、参考になるのはやはり上記HFRIのようなヘッジファンド全体の「平均値」です。そしてその平均値が低迷している以上、ヘッジファンドの運用成績に過度に期待するのは困難です。
最も尊敬されている投資家であるウォーレン・バフェット氏もヘッジファンドが嫌いで、インデックスファンドへの投資を勧めていることにはそうした背景があるものと思います。
他方で。
質問者の方が触れている「マイホーム購入」は悪くないアイデアだと思います。期間30年などで見ればマイホーム購入も賃貸もトータルのコストに大きな差はないものの、息子さんへの相続を考えれば不動産の評価額は時価より低く減税メリットが見込まれます。
さらにマイホームであれば、不動産投資に付きまとう「空室率」などの問題もありません。つねに100%満室ですね。
また、キャッシュを不動産に換えてしまえば、知らず知らずのうちに使い込んでしまうこともありません。投資詐欺に引っかかることも、悪徳商法に騙されてしまうことも、親戚に無心されることも防げるものと思います。
そんな比較的筋の良さそうな「マイホーム購入」ですが、あえて注意点を挙げるとすれば以下3つでしょうか。
1.今後、人口減少が予想される日本では、「都心回帰」の動きがますます加速すると思われることから、郊外は避けた方がよい。
2.最近の不動産投資ブームの元で、マンション価格は従来の「1.3倍」くらいのレベルに上昇しており、今からマンションを購入すると逆に3割程度下落する可能性がある。
3.高額の物件を購入すると、維持費も高額になることから、たとえば30年分の維持費はきちんと残しておく。
キャッシュを残せば、せっかく遮断したはずの投資詐欺・悪徳商法・無心のリスクが再度高まることになりますが・・・。
ぜひ参考になさってください。
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