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40代男性「大和証券などの個人向け国債キャッシュバックキャンペーンはお得ですか?」


質問 :大和証券などの国債キャンペーンはお得?よくみかける証券会社の個人向け10年国債のキャッシュバックは今でも0.4%あります。1年の拘束はありますが定期預金に比べてとても良いと思うのですがどうでしょうか?寝かせてる現金を使おうと思ってます、デメリットはありますか?

<40代男性>


回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に同様のお悩み相談があれば月1回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。

さて質問内容に戻りまして、「大和証券などの個人向け国債キャッシュバックキャンペーンはお得ですか?」とのことですね。元本に対して0.4%のキャッシュバックがあるのであれば悪くないと思いますが、実際はどうなのでしょうか。

というわけで早速、大和証券のサイトをチェックしてみると2017年12月現在、このようなキャンペーンが実施されていました。



確かに「キャッシュバック金額が0.4%」となる金額はあるものの、それは「10年債×1,000万円以上」ということですのでかなりハードルは高めですね。現実的には100万円、300万円、500万円といった金額だとすると、そのキャッシュバック率はこのようになります。

・100万円 : 0.1%〜0.2%
・300万円 : 0.1%〜0.2%
・500万円 : 0.2%〜0.3%

0.1%はともかくとして、0.2%や0.3%あればそれなりに魅力的と言えそうです。

ちなみに財務省が金融機関に支払う事務手数料は以下の通りのようです。

・10年債 : 0.4%
・ 5年債 : 0.3%

つまり購入額が1,000万円以上の場合、事務手数料を全額顧客に還元しているというわけですから、限界ギリギリのキャンペーンということですね。購入額が1,000万円未満の場合、その限りではありませんが・・・。

では投資家の立場からするとこのキャンペーンは本当に魅力的なのでしょうか?

まずポイントとなるのは、このキャッシュバックは最初の1回しかもらえないということですね。仮に0.4%のキャッシュバックがあったとしても、10年債は文字通り満期まで10年あるわけですから、年利に直すと単純に言えば「0.04%」しかありません。

現状の10年債の金利は0.05%ですので、このキャッシュバックを加味してもその利回りは0.05%+0.04%=0.09%ということです。とすると響きほどの魅力はないですね。

そうしたわけで、素直に考えればこのキャンペーンは「それほど魅力的ではない」ということになります。定期預金でも探せば0.2%以上のものはありますからね。

ただ一方で、個人向け国債は1年経てば解約することができます。解約時のペナルティは「1年分の利息」ですので、ちょうど1年後に解約すれば利息はゼロとなってしまうものの、当初の0.4%分のキャッシュバックを加味すれば、実質的な利回りは0.4%になるということですね。

さらにこれを毎年繰り返せば、ずっと実質0.4%で運用できることになります・・・理論上は。

ということでこの「実質0.4%」を実現するためには少なくとも以下2つの要件を満たす必要があります。

1.証券会社側でも1年経てば自由に解約できる仕組みとなっていること。

2.解約金で再び国債を購入してもキャッシュバックの対象となること。

大和証券を例にとり、まず前者の個人向け国債の解約(中途換金)方法をチェックしてみると、このように注記されています。

「中途換金(売却)はインターネット(オンライントレード)では受付けておりませんので、お取扱窓口までご連絡ください。」

つまり解約しようと思うと、いちいち窓口まで行かないといけないわけで、それなりの物理的ハードルがあります。

加えて、窓口の担当者も素直に解約に応じるとは思えません。普通に考えれば他の投資商品のセールスが待っているものと思います。とすると、それなりの「心理的ハードル」もあるわけで、そう簡単ではないですね。

やはりこのように繰り返し解約をしながらキャンペーンに参加し続けるためには、「インターネットで簡単に解約ができる」ということが必須条件となるのでしょうね。

次に後者の、解約金で再び国債を購入してもキャッシュバックの対象となるのかどうかという点については以下のようなキャンペーンの注釈がありました。

「対象金額とは、個人向け国債のうち、10年債、5年債のご購入金額から、2017年12月1日(金)〜2018年1月10日(水)の期間に売却された個人向け国債の額面金額を差し引いた金額をいいます。

ただし、「第22回(2008年4月発行)」から「第34回(2011年4月発行)」までの10年個人向け国債の売却金額(額面金額)を除きます。」

つまり、キャンペーン期間前後に国債を解約(売却)した場合、その金額は対象外になってしまうということですね。これは「解約した資金でキャンペーンに参加してはいけませんよ」という明確なメッセージです。

そうは言いつつ、「第34回(2011年4月発行)までの10年個人向け国債は対象外」ということですから、「6年経過すればOK」ということなのかもしれませんが、いずれにしても大和証券のキャンペーン条件を前提にすると、当初夢想した「ずっと実質0.4%で運用」するというのは難しいということですね。

質問者の方はそこまでは期待しておらず、「1回でも0.4%もらえるならそれでいい」ということなのかもしれませんが、それでも1年後に解約する際には、店舗で相応のセールス攻勢が待っているのは間違いないと思います。

国債キャンペーンを一度だけ利用する前提であっても、解約することを想定しているなら、やはりネットで簡単に国債を解約できる証券会社を選んだ方が良さそうですね。

参考になさってください。

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