質問 :日本生命に一時払終身保険死亡時受取額1500万円にはいっています。(1300万ぐらいは払い込みました。実は主人の死亡保険です)
受取人は娘2人となっています。
この保険からドリームロード一時払外貨建養老保険に変更しませんかと勧められています。500万で目標設定額を600万にすれば、その額になるまで預ければ為替差損もないからといわれます。
相続税対策にもなると。
私があとどのくらい生きるかはわかりませんが、手堅いのはどちらでしょうか?教えてください。
<60代女性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に同様のお悩み相談があれば月1回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。
さて質問内容に戻りまして、「一時払終身保険」と「ドリームロード一時払外貨建養老保険」のどちらが手堅いのですか、という疑問ですね。「一時払終身保険」は円建てかと思いますので、為替リスクはありません。その点では「一時払終身保険の方が手堅い」という結論になるかと思いますが、もう少しこの勧められている「ドリームロード一時払外貨建養老保険」についてチェックしてみたいと思います。
日本生命の商品紹介ページをチェックすると契約例としてこのようになっています。
10万豪ドルを預ければ、満期になったら10万豪ドルが返ってくるほか、利息≒生存給付金額として1,712豪ドルが最大9回もらえるということですね。
結果的に10万豪ドルが11万5,408豪ドルになるのですから、返戻率は115.4%ということになります。保険期間は10年ですから、実質的な金利は1.54%です。毎年受け取るわけですから「単利」で問題なさそうです。
予定利率が2.85%なのになぜ1.54%まで下がるのか謎ですが、「保険契約関係費用」がそれくらいかかるということでしょうか。
次に気になるのが質問の中の「500万で目標設定額を600万にすれば、その額になるまで預ければ為替差損もないから」 というくだりですね。商品紹介ページを見てみると「目標設定特約」のことのようで、このようなイメージ図となります。
要するに、預けた5万豪ドルなり、10万豪ドルなりが円安で目標金額に到達した場合、「強制的に円転しておいてあげますよ」という程度のもので、為替リスクは1円たりとも1銭たりとも減りません。
その点では紹介されているセールストーク=「500万で目標設定額を600万にすれば、その額になるまで預ければ為替差損もないから」 は全くの間違いですね。どこが間違いかと言えば「その額になるまで預ければ」という部分です。
正確には「10年の間に豪ドルが現在のレートから20%上昇した場合円転され、為替差損がなくなる」ということであって、逆に20%上昇しないと為替差損のリスクは最後まで残り続けることになります。
ここで豪ドルのチャートをチェックするとこうなります。
過去10年のグラフですが、この1年間は概ね1豪ドル=80円〜90円で推移していることが分かります。間をとって仮に85円なら、20%上昇した場合は102円となり過去10年で見るとわずか3回しかタッチしていないことが分かります。
次に90円なら20%上昇した場合は108円となり、過去10年で一度もタッチしていないのですね!つまり上記の「その額になるまで預ければ為替差損もないから」
というセールストークは不正確なだけでなく、「実際に為替差損がなくなる可能性はかなり低い」という点からも不適切だと言えます。
質問者の方はぜひ録音して日本生命に送り付けてください。こうしたセールストークは顧客だけでなく、日本生命にとっても極めて危険だからですね。
そうしたわけで、この「ドリームロード一時払外貨建養老保険」は実質的に「ただの豪ドル定期預金」ということですね。
とすると最新の利回りは分かりませんが、仮に今でも1.54%とすると、それより高い金利が提供されている外貨定期預金の方がお得ということになり、たとえば住信SBIネット銀行の豪ドル定期の1年もの金利は2018年3月24日現在2.0%であることから、そっちを選んだ方が良さそうということです。
もちろん保険商品の場合、相続時の非課税枠が預金とは「別腹」となりますので、預金や株式、不動産といった相続資産が非課税枠を超えそうな場合はあえて保険商品として運用するというのも手ですが、しかし質問者の方は60代であり、この「ドリームロード一時払外貨建養老保険」の運用期間が10年とすると、平均寿命・余命の観点からはそこまで心配しなくても良いかもしれませんね。
加えてとっても気になるのが「ドリームロード一時払外貨建養老保険」の「契約初期費用」です。説明書にはこう書かれています。
・7%を上限とする率を一時払い保険料に乗じて得た金額が、契約日に控除されます。
何と初期費用が7%も取られてしまう可能性があるということですね!であればこの「ドリームロード一時払外貨建養老保険」の実質的な利回りはさらに下がることになります。
もしかすると予定利率の2.85%が1.54%に下がる主な理由はこれなのかもしれませんが、いずれにしても預金者の一般的な感覚からすれば法外な手数料が取られることに変わりはありません。
商品性からも、利回り面からも、コスト面からも、この「ドリームロード一時払外貨建養老保険」を積極的に活用するメリットはあまりなさそうです。
そうしたわけで繰り返しになりますが結論は、「一時払終身保険の方が手堅い」ということですね。
参考になさってください。
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