質問 : 確定拠出年金をすべきかどうか、ご意見頂戴致したくご相談お願い致します。
確定拠出年金は、掛け金が全額所得控除、預金利息が非課税、受け取るときにも控除の仕組みがある、といった3つの大きなメリットがありますが、当方56歳女性です。積立てできる60歳まで後4年間しかなく、税金面での優遇を受けるメリットより、デメリットの方が大きいのではとの懸念を持っています。
経済ジャーナリストの荻原博子氏によると、50代女性では口座管理手数料 (国民年金基金連合会などにかかる月167円と、金融機関がそれぞれ設定する手数料の一般的な合計額月400〜500円
) を上回る利回りは難しいとの見解を示されています。
片や、社会保険労務士の井戸美枝子氏によると、全額、所得控除の対象になるので、確定拠出年金は従来の年金より運用のリスクがあるが、その分、税制上の優遇も大きい。運用の成否は自己責任となるが、55歳からの5年間だけでもよいので、挑戦してみてはとの見解です。
ハイリスクハイリターンよりローリスクローリターンの方が自分の性に合っています。
20代で始めた株も買値を大きく割っている株式が幾つもありますが、損切りもできずまだ保有しています。この経験からも、自分は投資には向いていないという事を実感しています。
ご教授の程、どうぞ宜しくお願い致します。
<50代女性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に預金・貯金・資産運用に関するお悩み相談があれば月2、3回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。
さて本題に戻りまして、56歳から60歳までの4年間、確定拠出年金をやって意味がありますか?という質問ですね。
意味があるかどうかは当たり前ですが、確定拠出年金を利用した場合のメリットがデメリットを上回るかで決まります。正確にはどういった金融機関でいくら利用するのか、そしてご自分がどれくらい税金を払っているのかによって変わってきますが、ここではざっくり計算してみたいと思います。
<メリット>
質問者の方が指摘するように最大のメリットは「掛け金が全額所得控除になる」という点です。仮にざっくり収入の2割程度を納税しているとすると、この「2割部分」が免除=減税されるということですね。
毎年24万円(月2万円)拠出すると、減税メリットはこのようになります。
・24万円×2割×4年間=19万2千円
なお、この減税メリットは「拠出した時だけ」ですので、いくら残高が溜まってこようがあくまで毎年の拠出額(この場合は24万円)の2割となります。
また、いくら減税メリットをもらっても、それに見合うだけの納税をしていないと意味がありません。たとえば住宅ローン減税などで納税額がほぼゼロになっているような場合はこの減税メリットもゼロとなりますのでご注意ください。
加えて収入に対して、住民税と所得税を併せて何割くらいの税金を払っているかは人によって変わってきますのでご注意ください。
最後にこうした資金を何で運用するかによりますが、かりに定期預金で運用する場合の金利は0.01%程度ですので4年間の運用益はざっくりこうなります。
・96万円×0.01%×4年間÷2=192円
まぁこれは無視してもいいかもしれません・・・。
<デメリット>
デメリットはこれまた質問者の方が指摘するように口座管理手数料ですね。
とは言いつつさすがに4年間で19万円も取られないであろうことは想像がつきますが、たとえばゆうちょ銀行のiDeCoの場合だと月422円の手数料がかかりますので4年間でこうなります。
・422円×12ヶ月×4年=2万256円
次にSBI証券や楽天証券の場合、自社の手数料は取りませんので月167円となり、4年間でこうです。
・167円×12ヶ月×4年=8千16円
2万円か8千円かはさておき、いずれにしても手数料より減税メリットの方がはるかに多い計算ですので、結論から言えば例え4年でも確定拠出年金を始める意味はありそうです。
ただし繰り返しになりますが、メリットはあくまで「減税」ですので、ご自分の減税メリットがどれくらいかによって変わってきますので、まずは納税の明細をご確認ください。
<まとめ>
すでに結論は出ていますが、メリットは毎年の拠出額に比例し、デメリットは固定費であることから、やるべきかどうかはこう計算すれば簡単です。
・毎年の拠出額×ご自分の税率(所得税+住民税) − 口座管理手数料(2,000円〜5,000円) = プラスかどうか
参考になさってください。
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