質問 : 数年ほど前から証券会社の人に勧められて株式投資をやってきました。200万位で60万ぐらい儲かったことから、どんどん投資してきました。
証券マンの勧める株を買っていましたが、その後はうまくいかず、この春に一応プラマイゼロまで持ってきましたがここにきてアメリカの株が暴落してきています。すでに投資額は1700万円で今現在損失が500万位まで来ました。夫にも言えず、毎日暗い日々を過ごしています。
このまま持ち続けるべきかここで止めるべきか悩んでいます。アメリカの株が凹んでもまた長いスパンで見れば戻ると言うふうに書かれているのを見ました。持っている株はアメリカのハイテク株を中心に他アマゾンやアリババといったところです。いずれも大手です。
<40代女性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に預金・貯金・資産運用に関するお悩み相談があれば月2、3回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。
さて本題に戻りまして、アメリカのハイテク株に1,700万円投資して損失が500万円くらいに増えた現在、持ち続けるべきか止めるべきか悩んでいるということですね。
まず言えることは未来のことは誰にも分からないということです。特に未来の株価について正確に予想できる人は誰もいません。投資先の株価は上がるかもしれないし、下がるかもしない、というのが正直なところです。
その上であえて今後の先行きを考えた場合、アマゾンにせよ、アリババにせよ、アメリカのハイテク株に楽観的になるのは難しそうです。その理由としては
1.株価がすでに高すぎること
2.過度な成長期待が薄れつつあること
3.今後アメリカ経済はスローダウンし、場合によって景気後退に陥る可能性があること
4.ハイテク業界は企業の栄枯盛衰が激しいこと
と言った点が挙げられます。
この中で記者が最も気になるのは、4つ目の「栄枯盛衰が激しい」という点です。上記1〜3については長期保有していく中でいつかリカバーできる性質のものですが、4については「長期保有している間に会社がなくなっているかもしれない」ということを意味しますので穏やかではいられません。
質問者の方が仰るように、「アメリカ株が凹んでもまた長いスパンで見れば戻る」という認識は正しいと思います。たとえばNYダウの推移をチェックするとこうなります。
2008年のリーマンショックの時に急落したNYダウも、その後の10年ではるかに高い水準へと上昇したことが分かります。最近の急落を加味しても引き続き高値水準にあります。
ただしこれは「市場全体」の話であって、個別銘柄を見た場合はその限りではありません。もし仮に「短期的には下がるかもしれないが、中長期的な株価上昇に期待したい」と思うのであれば、一旦お持ちのハイテク株式は売却して、NYダウやS&P500といったアメリカ株のインデックスファンドに投資するのが良さそうです。
加えて考えておいた方がよいのは、「どれくらいの損失に耐えられるのか」という点と「どれくらいの期間、投資できるのか」という点です。
前者については、今後仮にリーマンショック級の金融危機が起これば株価は半値以下に下がるかもしれません。また大きく円高も進むでしょうから、元本の7割くらい吹き飛ぶ可能性もあります。
後者については、仮にそういった暴落が起こると4、5年は赤字が続くかもしれません。上記NYダウの株価推移をみても、リーマンショック直前に高値掴みしてしまった方は5年くらい含み損が続いていたのではないかと推察されます。
言い換えれば「元本の7割くらいの損失が発生しても大丈夫だし、5年以上運用できる」という場合は「中長期的な株価上昇」に期待して、長期投資に切り替えてもいいと思います。
ただしその場合でも、繰り返しになりますがインデックスファンドの利用を強くお勧めしたいと思います。
それらが許容できないということであれば、全てを売却してアメリカ株から撤退というのが視野に入ってくると思いますが、500万円の含み損を受け入れるのはなかなか難しいでしょうね・・・。
進むも地獄、戻るも地獄と言えるかもしれませんが、ただ突き放すようではありますが、株式投資というのは「そういうもの」ですね。そういうリスクがあるからこそリターンが高いのです。
進むことも戻ることも難しければ、間をとって「半分だけ売却する」というのも手かもしれませんが、今後、ハイテク株に強い逆風が吹く可能性を視野に入れ、勇気を持って決断していただければと思います。
また少なくともご家族には話をしておいた方が良いかと思います・・・。最初は怒られるかもしれませんが、精神的なストレスは一人で抱え込むよりはるかに軽減されるのではないでしょうか?
参考になさってください。
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