質問 : 900万で米ドル終身保険を買いました。1ドル56円に下がらなければ元金割れしないとの事ですが信用できますか?1ドル112円でかいました。
平均寿命と仮定して後30年後に56円になる可能性はありますか。
商品はメットライフ生命です。保険会社の破綻のリスクも合わせてお願いします。
<50代女性>
回答 : 読者の方から上記のような質問をいただきました。他に預金・貯金・資産運用に関するお悩み相談があれば月2、3回程度の頻度で回答していこうと思いますので、もし質問したいという方はこちらの投稿フォームから送信してください。もちろん個人情報は不要です。
さて本題に戻りまして、「米ドル終身保険について1ドル56円まで下がらなければ元金割れしないということですか信用できますか?そこまで下がる可能性はありますか?」という質問ですね。
まず「1ドル=56円に下がらなければ元金割れしない」というのは間違っています。契約当初は手数料負担などが重く、解約すれば為替レートが変わらなくても元金割れするのが通例です。
運用を続ければ、積み立て利率の分だけ運用益が増えていき、解約返戻金もプラスとなり、そこから先はどんどん円高に対する抵抗力が高まっていきますが、「為替レートがいくらなら元金割れしないか」は運用期間が延びていけばいくほど変化していきます。
つまり「1ドル56円まで下がらなければ元金割れしない」というのはあくまである一時期の解約返戻金の試算を指したもので、「必ずそうなる」というものではないですね。
言い換えれば、運用期間や積み立て利率によって「1ドル57円でも元金割れする」場合もあれば、「1ドル56円でも元金割れしない」場合があるということです。
試しにメットライフ生命の「USドル建終身保険 ドルスマート S」の運用試算を引用するとこうなっています。
例えば積み立て利率が最低保証の3%の場合、30年後の解約返戻金の率は139.8%ということになり、質問者と同じように1ドル=112円で購入したとすると単純計算で言えば1ドル=80円まで円高になっても元金割れしない、ということですね。
35年後の場合は154.5%ですから1ドル=72円まで円高になっても元金割れしないということです。
しかしまだ1ドル=56円にはならないですね。
というわけで運用がうまくいった場合の利率3.5%×35年で計算すると180.9%ということですから、損益分岐点は1ドル=62円とそれらしい金額になってきますが、それでもまだ56円には及びません。
そう考えると質問の「米ドル終身保険について1ドル56円まで下がらなければ元金割れしないということですか信用できますか?」という点については、そもそも考え方が間違っている上に、同社の試算をチェックしても達成は難しそう、という二重の意味で「信用できない」というのが回答となります。
当時の説明資料等をよくチェックしていただければと思います。
次に「1ドル56円まで下がる可能性はありますか?」という質問ですが、これは十分あります。なぜならアメリカの金利は高くどんどん貨幣価値が下がる=インフレ状態であるのに対して、日本の金利は低く貨幣価値が維持されているからですね。
仮に日本の金利が0%、アメリカの金利が2%という状態が永遠に続くとすると、理論的な為替レートはこのようになります。
・10年後:1ドル=93円
・20年後:1ドル=76円
・30年後:1ドル=62円
・35年後:1ドル=56円
30年後でも一応まだ1ドル=62円を維持している計算ですが、実際の為替レートはそれ以外の理由=景気の良しあしなどによっても大きく変動しますので、30年以内に1ドル56円になる可能性は十分あると言えます。
ということが質問への回答となりますが、ただ記者自身が質問者の方の米ドル終身保険にネガティブかと言うとそうではありません。というのも日本円で運用してもほぼリターンが得られないからですね。
過剰な期待は禁物ですし、上記の通りリスクは小さくないものの、通貨分散という観点からご自分のポートフォリオの一部をこうした米ドル終身保険に振り向けるのは決して悪い選択ではないと思います。
たとえば全金融資産の「1割、2割なら」という感じでしょうか。
最後にメットライフ生命の破綻リスクですが、最新の格付けをチェックするとS&PでAA−ということで最高水準に近いですね!社歴も長く幾多の金融危機を乗り越えてきたことを考えれば、少なくとも日本の大手生命保険並みの安心感は感じても良さそうです。
参考になさってください。
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