当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのはファンズ株式会社が提供するソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)である「FUNDS」ですね。FUNDSについては過去も取り上げていますので、ご興味がある方はご一読ください。
>>>利回り2.3%!FUNDSのホテルファンドは魅力的?
さてそのFUNDSについて、読者の方から以下のようなメールをいただきました。
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海外駐在から帰任し、貯金が2500万円ほどあります。
NISA含め、月に13万円ほど積立投信(インデックスファンド中心)するようにしましたが、それでも2000万円ほど余剰資金があります。
定期預金の金利も高くても0.3%程度で、funds というソーシャルレンディングに近いものに興味あるのですが、こちらはいかがでしょうか?
ご意見頂ければ幸いです。。
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果たして魅力的なのでしょうか?ということで現在募集中のファンドについて調べてみるとこうなっています。
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・案件名:アスコット未来創造ファンド#4
・投資先:株式会社アスコット
・投資受付金額:100,000,000円
・予定利回り:2.20%
・運用期間:約17ヶ月
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利回りは2.2%ということで他のソーシャルレンディングと比較すればかなり低いですが、他方で、投資先からすれば許容できるギリギリの金利水準という気もするので、却って経済合理性というか信頼感を感じないではありません。
この点は前回取り上げた時と同じ感想です。
資金使途としては
・不動産事業の事業資金に利用します
とのことで不動産価格が高騰していると言われている中では、リスク感がありますが、投資先の株式会社アスコットは上場企業ですのでその決算書を確認するとこのようになっています。
前期の2021年9月期決算は赤字だったということですね!
そのままだと銀行から融資を得るのは難しいため、FUNDSを頼ったということなのかもしれません。ローリスク・ハイリターンの投資などあり得ませんので、この2.2%のリターンの裏にはそれなりのリスクがあるということです。
ちなみに今期である2022年9月期の半期決算=2021年10月〜2022年3月決算はこのようになっています。
今のところプラスですが、赤字だった前期よりも利益は減っているわけで、安心できる結果とは言えない気がしますね。
運用期間は17ヶ月と、長くはありませんが短くもありませんので慎重にリスクをご判断いただければと思います。
加えてこうしたソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)にあたってもう1つ考えないといけないのは、運営会社であるFUNDS社そのもののリスクです。
もし仮にFUNDS社が倒産でもしようものなら債権回収はかなり困難になりますからね。というわけでFUNDS社の財務内容をチェックしてみると、官報で公告されているのを発見しました。過去5年の実績はこのようになっています。
めちゃめちゃ赤字ですね・・・。
2021年5月期は赤字幅が縮小しているようにも見えますが、これは2ヶ月の変則決算なので実質的には赤字幅は大きく拡大しています。
そう考えると「まぁまぁヤバイ状態」にあると言えます。日本の融資市場は飽和していますからね。そう簡単に儲かる「歪み」がないのは当然です。
有名な企業グループが出資していますので、ある日バッタリ倒れることはないとは思いますが、これまた慎重にリスクをご判断いただければと思います。
つまり投資家は
・アスコット社
・FUNDS社
の2社の赤字リスクを取らないとならず、その対価が2.2%の利回りというのは・・・果たして適切なんですかね?
ちなみに不動産に投資してみたいということであれば、REITの方がはるかに透明性が高くてお勧めです。
5%を超えるものもありますし、分散して投資しても3.62%の利回りです。
そしてソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)と違って換金したい時にいつでも換金できる流動性も魅力の1つです。
REITは値動きがあるために値下がりした場合に損失が可視化されてしまうデメリットはありますが、しかしソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)も可視化されないだけで、何かあった場合に最終的に投資家に転嫁されるという意味では同じです。
かく言う記者もREITには投資しております・・・参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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