当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。
そして今回取り上げるのは株式会社マリオンの投資商品「i−Bond」ですね。
ちなみにマリオン社については過去に一度取り上げたことがあります。
>>>利回り3.75%!マリオンボンドは魅力的?
およそ6年前の記事であり、今から読み返せば稚拙な表現が散見されますが、これも当時の記者なりの正義感の発露ということでご容赦ください・・・。
さて今回改めて同社の商品である「i−Bond」を取り上げるわけですが主な特徴はこのようになっています。
予定分配率は往時の3.75%から1.50%に大幅に低下していますが、記者の第一印象としては「悪くない」です。
と言うのも会社が銀行から借り入れする場合、状況や条件によっては1.5%程度になる可能性は十分あり、だとすると「銀行の代わりに投資家に1.5%払って資金調達しよう」という判断は、マリオン社にとって合理的だからです。
こうした投資商品の危険性を見分けるためには、「資金を集める会社にとって経済合理性があるのかないのか」という視点はとても大切です。経済合理性がない場合は詐欺の可能性があるからですね。世の中にウマイ話はありません。
加えて6年経って同社の大きな変化は東証JADSAQに上場したことですね。「上場会社なら安心」というわけではもちろんありませんが、上場会社であれば財務情報を公表しないといけないので同社の内情をチェックできます。
というわけで早速、同社の財務情報をチェックすると負債と純資産はこうなります。
借入金とi−Bondなどの投資商品残高はこうなっています。
・借入金:62億3千万円
・投資商品残高:52億15百万円
次に損益計算書をチェックするとこうなっています。
・支払い利息:83百万円
・投資商品の利払い:1億49百万円
ということですので、それぞれ利率を計算するとこうなります。
・借入金:83百万円÷62億3千万円=1.33%
・投資商品残高:1億49百万円÷52億15百万円=2.86%
こうやって見比べるとi−Bondの1.5%という利回り水準は、同社にとってみれば「銀行借り入れの代替」としても「過去の高金利商品の入れ替え」としてもやはり一定の経済合理性があります。
またコロナ禍が襲った2020年9月期決算でも2億58百万円の当期利益を維持しているという点も好感が持てますね。
ではこのi−Bondは「買い」なのでしょうか?
他の胡散臭い商品と比べれば悪くないとは思いますが、気になる点があるとすれば今期=2021年9月期決算は大幅な減収減益の予想を出しているところです。
売上高は何と半減し、当期利益は7割減という予想ですね!それでも黒字なのだからいいじゃないかという考え方があるかもしれませんが、このi−Bondに対してマリオン社は5%の劣後出資を行っており、仮に投資物件を売却する際に赤字が出ればマリオン社の損益を直撃します。
そう考えると70百万円という利益水準はどう見ても脆弱ですね。
加えて1.50%という利回り水準の是非ですが、足元のJ−REITの配当利回りはと言うとこうなっています。
現状、4.41%という水準になっているのですね!過去の推移を見ても概ね4%前後で推移しています。
J−REITの価格自体は以下のように変動があるものの、i−Bondも不動産に投資している以上、同じような価格変動リスクがあるのだとすればむしろJ−REITの方が透明性が確保されている分、より健全だと言う気もします。
長期投資として考えれば価格はむしろ安定しているという見方もできそうですしね。
そうしたわけで記者がもし「少額で不動産投資を始めたい!」と思うならJ−REITに投資します。参考になさってください。
では最後に、いつもご案内しているアヤシイ運用を見分けるチェックポイントはこうなっています。
1.リスクとリターンは連動しており、たとえば毎年5%のリターンなら毎年4%といった損失が、毎年10%のリターンなら毎年9%といった損失が発生する可能性があり、そうした損失発生の可能性を隠しているのであれば詐欺の可能性がある。
2.もし本当にローリスク・ハイリターンのビジネスがあるなら銀行が1%〜2%といった低利で喜んでお金を貸してくれるはずであり、それをわざわざ手間暇かけて個人から高金利で資金を集めるというなら詐欺の可能性がある。
3.「マイナス金利」で運用難の今の時代に本当に有利な商品ならみんなが飛びつくはずであり、わざわざ広告しないといけないのは詐欺の可能性がある。
加えてこちらの記事も参考になさってください。
>>><備忘録>怪しいファンド、投資案件の見分け方
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